2015年7月20日月曜日


浮世風呂

日本の垢を落としたい。浮き世の憂さを晴らしたい。そんな大袈裟なものじゃないけれど・・・

特亜の危険な偽物品が世界に進出し、競合日本との激しい攻防戦

2015-05-28 16:19:44 | 資料
【世界の原子力発電所メーカー】
世界における原発の新規建設数が長い間低迷したことにより、世界の原発メーカーの再編成が進んだ。原子力プラントメーカーは、

1980 年代には、欧州に4社(フラマトム、シーメンス、ブラウン・ボベリー、アセア)、米国に4社(ウェスチングハウス〈WH〉、ゼネラル・エレクトリック 〈GE〉、コンバッション・エンジニアリング、バブコップ&ウィルコックス)、日本に3社(三菱重工業、日立製作所、東芝)があった。
▼現在の原発メーカー
☆「東芝」 傘下に米国ウェスチングハウス WHはAP1000(改良型静的安全加圧水型炉)

☆「日立」 傘下に米国GEの原発部門  GEはESBWR(簡易型沸騰水型炉)

☆「三菱重工」 フランスのアレバ社と提携 アレバはEPR(欧州加圧水型炉)

☆「アレバ」 フランスの競合企業のなかで唯一原料のウラン採掘から燃料製造までを一貫して行える企業。

☆「ロスアトム」 ロシア国営の原子力企業 傘下にアトムエネルゴプロム
原発の電気系統を管理しているのがイスラエルのマグナBSP社、汚染処理は、日本のポリグル社が浄化技術を持っているのに、東電は却下してフランスのアレバ社に任せていて今の有り様である。

参考
☆「斗山重工業」 韓国
韓国の財閥系斗山グループの重電メーカー。PWR(加圧水型原子炉)の技術を持つ。もともと火力発電所の廃熱回収ボイラーでは世界シェア1位を持つ企業として知られ、加圧器を供給していたが、原子炉にも参入。
しかし実態は日本からの輸入で、メンテナンスもアフターケアもすべて日本に助けを求めている。
売り込みには嘘八百を並べ、メンテナンスもアフターケアも日本が行いますと売り込んで、後から日本に泣きついて来る。出来るのは現代の建設部門による建物だけ。

【日本の主な原発関連メーカー】

原子炉製作  「日本製鋼所室蘭製作所」

国内の原発すべてに納入されており、「室蘭が止まれば、世界の原発建設はストップする」とも言われている。

ペレットおよび核燃料体製作  「グローバル・ニュークリア・フュエル」

日立、東芝、GEといった大手原発メーカーの合弁会社。日本国内の沸騰水型原子炉で使われるペレットおよび核燃料体を製作している。
日本国内のペレットおよび核燃料体はすべてこの工場でつくられている。

原子力建屋等建設  大手ゼネコン5社(鹿島建設、大林組、大成建設、竹中工務店、清水建設)

これで分かるように米国の原発企業は日本に付託されている。米国の核に必要なプルトニウムは日本の東芝・日立が任されていると言っても良いだろう。

http://ermite.just-size.net/nnaa/fubai.html
原発に欠かせない非破壊検査

産業構造物の建設・維持に欠かせない「非破壊検査」。
「非破壊検査」は、橋や船などの大型構造物、原子力発電所、プラント設備、パイプライン等の建設や維持に欠かすことができない技術――「物を壊さずに中身を検査する」技術。

この技術と検査器具・機械、検査用品は日本独自に開発されたものである。

超音波探傷検査、放射線透過検査、磁粉探傷検査、電磁誘導検査、アンモニアリーク試験、金属組織の検査などを行い、高度な溶接技術も必要とされる。
また、建設・土木に精通し、設備・配管劣化の調査や科学分析、コンサルテーションと多岐に渡り、検査技術員の養成と日々新しい検査方法を模索しなければならない。

日本にしか出来ないものが多く有る中で、パイプラインのシームレス加工や原子力発電所の建設時の検査や、定期点検時の非破壊検査は日本の独壇場と言って良いだろう。
日本がこの技術と機械、検査用具、検査液を止めると、世界の原発が止まる。

現在中国でこれから建設を予定されている約100基と言われる原発に売り込み攻勢をかけているのが韓国の「斗山重工業」。しかし韓国の売り込む原発は日本の原発だということ。現実的にはフランスのアレバ社製を中国は想定していると思われる。

しかしアレバ社の原発を導入ても、原子炉や非破壊検査は日本から得られなければ全く絵に描いた餅にすぎない。

◆中国製・新型原発の『危険すぎる狂気の仕様』に専門家が驚愕。本国で建造経験のない代物を他国に輸出

2015年05月03日 BLOGOS

新 型自動車を設計したメーカーが走らせる前に売り出すことはしません。多数の部品からなり、どこに異常が潜むか分からないからです。ところが、膨大な部品か らなる原発を中韓両国は設計図だけで売る無謀な商売に熱中です。他国のことながら重大事故を起こせば地球規模での災害になり得る原発だけに、心配でなりま せん。現に韓国自ら運転経験がない韓国型の新大型炉がアラブ首長国連邦(UAE)で完成しつつあり、韓国が先に運転実績を作るように要請されています。 

  手広く商売を広げているのは中国で、今年に入ってアルゼンチンとパキスタンからの受注が報じられました。それが上の写真「華竜一号」(環球網から引用) で、百万キロワット級の大型原発です。中国が自主開発し、知的財産権を全て掌握していると主張しています。福島原発事故をうけて重大事故予防機能を強化し た第三世代の原発といいます。しかし、原発建設ラッシュの中国本土でも、この新型炉の建設はまだ始まっていません。パキスタンでは人口1000万を超す最 大都市カラチの近郊に建設する予定で、不安を持つ住民から反対の声が出ています。 

 中国本土で最も建設が進 んでいる新型原発は米ウエスチングハウス社が開発した第三世代炉「AP1000」です。実はこの炉も本国の米国でまだ建設されていません。浙江省の三門原 発と山東省の山東海陽原発でウエスチングハウス自身が建設にあたっています。同社はもともと加圧水型原子炉の開発者であり、豊富な開発と建設の経験を持っ ていますから設計図をいきなり現場に持ち込むのも許されるのかもしれません。それでも、2014年中の運転開始予定が、循環ポンプなどに技術的な支障が発 生して3年遅れになっています。 

 まだ出来上がっていない新型炉AP1000をベースに、更に大型化した原 子炉「CAP1400」を中国は独自開発すると言っています。その新・新型炉に南アフリカなどが強い関心を示していると伝えられるのだから、長年、原子力 をウオッチしてきた者として、とても大きな違和感を持ちます。知的財産権を掌握とする以上は、新しい設計でなければなりません。その新設計が確実に機能す る実績を作らないで輸出の話が先に出来てしまうとは常識外れと言わざるを得ません。
 「華龍一号」

 ロイター《〔焦点〕中国原発輸出、問われる「メード・イン・チャイナ」の信頼性》が伝えたような疑問が出ない方がおかしいのです。 

《先 月には独自モデルの原子炉「華龍一号」をアルゼンチンに輸出することで基本合意。しかし、国営メディアが同モデルの「初航海」と表現したにもかかわらず、 中国国内ではまだ華龍一号は1基も建設されていない。世界市場に原子炉を出荷できるのか、中国の輸出能力に懐疑的な見方が強まっている。中国の国家核電技 術公司(SNPTC)でシニアエキスパートを務めるシュー・リェンイー氏は「われわれの致命的な弱点は、管理基準があまり高くないことだ。国際基準とは大 きな差がある」と話す》 

 中国の原発事情については1年前に第419回「新型炉ばかりの中国原発、安全確保に大きな不安」にまとめました。 

  中国の場合、新設計と言ってもよく知られた加圧水型原子炉に変わりはないのですが、先日、韓国大統領とサウジアラビア国王の間で輸出覚書締結のニュースが 流れた小型原発は、まるで違う形態の炉です。主な配管を省いて原子炉内に主要な機器を収納するコンパクト設計、9万キロワット発電の他に海水を脱塩し1日 4万トンの真水を作るのが売りになっています。第469回「韓国のサウジ向け小型原発は韓流ファンタジー」でUAEで出来つつある新型炉と合わせて詳しく 論じています。 

http://blogos.com/article/111404/
◆中国製新幹線が『完全に方向性を見失って』盛大に迷走中。日本リニアへの対抗で大切なモノを失った

2015/05/09 U-1速報

  中国メディアの中網資訊は7日、四川省成都市にある西南交通大学の震動実験台などで高速列車車両が「時速500キロメートル走行」に成功したと報じた。実 際に走行させたのではなく、時速500キロメートルを想定した模擬実験の段階だが、記事は、中国は通常の高速鉄道車両で、日本のリニアモーターカーとの速 度競争に「完勝する」と伝えた。 

 同大学の実験施設の主な設備は高速鉄道車両の性能実験プラットフォーム、基礎研究プラットフォーム、デジタルシミュレーションプラットフォームだ。実験の実施は、西南交通大学の周辺施設が「計画停電」となるので、察知することができるという。 

  現在開発中の車両は6両編成で、時速500キロメートルを目指している。記事は「日本の浮上式リニアモーターカーは最高時速が500キロメートル。しかし 中国の電車はリニアモーターカー技術を用いないで同じ速度を出せる」と主張。さらに、列車がまず実現せねばならないのは目標速度の達成であり、次に大切な のは安全性だと論じた。 

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◆解説◆ 

 日本では浮上式リニアモーターカーL0系が4月21日に時速603キロメートルの有人走行(同時点で世界最速)を達成した。「時速500キロメートル」はリニア線として建設される中央新幹線の路線としての設計最高速度であることを、上記記事は誤解している。 

  中国でこれまでに時速486.1キロメートルの記録を達成したCRH380Aは、日本の新幹線E2系電車をベースとしたCRH2-300を発展させたもの だ。中国は自国の高速鉄道を「自主開発」と宣伝しているが、中国政府・鉄道部で副総工程師(技術副主任)を務めた周翊民氏は2011年6月、日本の新幹線 以上に高速で走らせていることについて「自分で設計した車両ではない。問題が出たら解決する経験も技術もない。大変なことになる」と述べた。 

 約1カ月後の7月23日、浙江省温州市内で、200人以上の死傷者を出した高速鉄道の追突事故が発生した。 

 日本超電導リニアモーターカー(マグレブ方式)の開発を決めたのは、いくつかの理由がある。まずは「地震が多い」との自然条件を考慮した。 

  マグレブ方式では車両側の“軌道”側の間隔が10センチメートルほどとかなり広い。しかもギャップの値が基準からずれれば、車体を正常の位置に戻そうとする「力学的」な力が働く。そのために、地震などの揺れに対する安全性が高いとされる。 

 中国では浮上式の上海リニア線が営業している。ドイツが開発した常電導リニアモーターカーだ。同方式ではギャップが1センチメートルほどしかなく、ギャップは電子制御で基準内に保たれるが、想定以上に広がれば車体は落下する。 

 ただし、日本のマグレブ方式は技術面の難易度が極めて高い。超電導の実現のために必要なヘリウムは世界的にみても稀少は物質で、必要量の安定確保が問題になる可能性も高い。 

 にもかかわらず、日本が世界初の超電導リニアモーターカーの開発を決意した理由には、「困難な技術開発を自らの手で行えば、周辺分野への波及効果により、産業全体の活性化が期待できる」という旧国鉄時代からの考えがあったという。 

(編集担当:如月隼人) 

Yahoo!ニュース サーチナ 5月8日(金)22時21分 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150508-00000211-scn-sci 

http://u1sokuhou.ldblog.jp/archives/50458207.html
◆「日立」に完敗した中国「鉄道ビジネス」 海外各地でつまずき…メキシコでは「契約破棄」、タイでは「金利高い」

2015/05/13 草莽崛起ーPRIDE OF JAPAN

国を挙げて海外での鉄道事業に力を入れている中国の“惨敗”がここにきて相次いでいる。

イタリアの防衛・航空大手フィンメカニカの鉄道関連子会社2社の買収合戦に中国IT企業が名乗りを上げ、日立製作所と一騎打ちになったが、2月下旬にあえなく日立に敗北。

昨年11月には、中国の企業連合が約5000億円で落札したメキシコ初の高速鉄道の建設契約が取り消されたうえ、プロジェクト自体が棚上げされるという不運にも見舞われた。

また、中国が受注を狙っているインド高速鉄道についても、インドの閣外相が先月末に日本の新幹線採用の可能性に言及するなど、逆風が吹いている格好だ。低コストを売りに世界各国の鉄道事業への参画を目指している中国だが、つまずきが目立っている。


横やり買収表明も“惨敗”

 日立は2月24日、伊防衛・航空大手フィンメカニカと鉄道関連事業の買収契約を結んだ。買収するのは傘下にある鉄道車両の製造メーカー「アンサルドブレダ」と、信号システム大手の「アンサルドSTS」。日立は同社の企業買収としては最大となる2500億円を投じる。

 そもそも今回の買収案件は、昨夏にフィンメカニカが不振だった傘下の鉄道事業の売却を正式に表明したことに始まる。

日立をはじめ欧米の有力企業などが買収の意向を示し、昨年10月時点で日立と中国国有大手「中国北車」の2社に売却先を絞り込まれたとされる。
その後、日本の技術力の高さや、有益な交渉条件などから、ほぼ日立の買収で決着するとみられていた。

 ところが、昨年12月中旬に中国のハイテク企業、浙大網新(インシグマ)が買収に名乗りを上げ、交渉の行方がわからなくなる。

インシグマは、買収を有利に進めるため、成都に本拠を構える建機メーカー、成都市新築路橋機械と買収方針で合意。アンサルドブレダの財務を評価するため、数週間の猶予をフィンメカニカに求めるなど、巻き返しに向け攻勢をかけていた。

 ただ、日本は安倍晋三首相が昨年10月にイタリアを訪問した際、今回の買収に言及するなど、官民一体の交渉が奏功、中国勢を下したといえる。

 「われわれが買収できたのは、長いレンジで鉄道事業を展開していき、その国や地域に根ざしたものにするという基本的な経営姿勢が評価されたのではないか」

 日立の中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)はこう語り、中国勢の攻勢に苦労しながらも、日立という一企業のみならず、日本全体の信頼性が最終評価につながったとの見方を示した。


「メキシコ受注撤回」に補償求める

 中国の“鉄道ショック”は、昨年11月にも起きていた。3日に、メキシコの高速鉄道建設をめぐり、中国の企業連合が、5000億円という巨大プロジェクト落札にこぎつけながら、その後数日でメキシコ政府が建設契約を取り消す事態に陥ったのだ。

 入札にあたっては、鉄道事業で「世界3強」と称されるカナダのボンバルディアや独シーメンス、仏アルストムの3社のほか、三菱重工業も検討したとされるが、結果として入札したのは、落札した中国南車を中心とした企業連合だけだった。

 1社単独だったことから、中国企業とメキシコのペニャニエト政権との贈賄疑惑が浮上。原油安や財政難を抱えていたメキシコ政府が、計画そのものをいったん棚上げする事態になった。

 落札直後、中国は「高速鉄道の海外進出が実現した第一弾」と喜びに沸き返った。中国は昨年来、李克強首相が先頭に立ち、タイやオーストラリア、欧州、アフリカなどに中国の高速鉄道を売り込む「高速鉄道外交」を積極的に進めていた。

それだけに、まさかの受注撤回、その後の計画棚上げに対する落胆ぶりは言うまでもない。中国側は激怒し、補償を求める騒ぎに拡大している。

 また、一部で中国が「有力」とささやかれるインドの高速鉄道も、先行きがより不透明になっている。

インドのシンハ鉄道担当閣外相は2月28日、高速鉄道建設計画に日本の新幹線を採用する可能性が高いかとの産経新聞の質問に「もちろんだ。モディ首相はとても関心を持っている」と述べた。


タイでは融資条件で折り合いつかず

 一方、タイ紙バンコク・ポストなどによると、タイと中国が共同でタイに建設する鉄道事業について、中国からの資金の融資条件で折り合いが付かず、交渉が難航しているもようだ。

タイ運輸省は中国が提示する金利が高すぎるとし、中国の融資だけに頼らず資金を調達する考えを示している。

 タイは昨年12月、ラオス国境の東北部ノンカイ県から中部ラヨーン県マプタプットに至る734キロと、首都バンコクと中部サラブリ県ケンコイを結ぶ133キロの2路線について、中国と共同で建設事業を進めることで合意。

18年3月の完成を目指している。

 総事業費は推定3500億~4000億バーツ(約1兆2915億~1兆4760億円)とされ、全額を中国からの融資でまかなうことになっていた。タイと中国は、融資条件や事業内容などについて3度目の交渉を2月初旬に予定しており、今後の動きが注目されている。

 つまずきが目立つ中国の海外鉄道事業だが、年内をめどに国有大手の中国北車と中国南車が経営統合して新たな鉄道事業会社を設立。世界最大規模になり、虎視眈々(こしたんたん)と新興国市場開拓などを狙っている。

政府を挙げてのインフラ輸出に一層力を入れてくるとみられている。

(3月5日掲載)

 産経ニュースが日々お届けするウェブ独自コンテンツの「プレミアム」。今年前半で特に人気のあった記事をセレクトし、【メガプレミアム】として再掲します。改めてお読み頂ければ幸いです。なお人物の年齢や肩書き、呼称などは原則として掲載時のままとなっております。

http://prideofjapan.blog10.fc2.com/blog-entry-7277.html
◆タイ、高速鉄道で新幹線方式を採用 来週合意へ 
2015/5/22  日本経済新聞
 【バンコク=京塚環】タイが自国内で計画している高速鉄道に日本の新幹線方式を採用する見通しになった。27日に両国の運輸担当大臣 が東京で会談し合意文書を交わす。総工費約4300億バーツ(約1兆5千億円)ともされる建設資金の調達など課題は残るが、新幹線の輸出が実現すれば台湾 に次ぐ事例となる見通し。日本はインドにも新幹線の輸出を目指しており、官民で取り組むインフラ輸出に弾みがつきそうだ。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO87131150S5A520C1EA2000/

土壇場で支那を逆転。総工費約4300億バーツ(約1兆5千億円)
◆知的財産侵害物品、9割以上が中国からの流入

2013年3月4日 財経新聞

  財務省が「平成24年の税関における知的財産侵害物品の差止状況」を発表した。輸入差止件数は前年比14.3%増の2万6607件と過去最高を記録。輸入 差止点数も111万7592点と前年比53.5%増となっている。これは、1日で平均70件、3000点以上の輸入を差し止めている計算になる。

  輸入差止件数の内訳は、偽ブランド品などの商標権侵害物品が2万6304件でトップ。構成比は前年比15.2%増の98.5%と圧倒的である。構成比 1.2%で2位となったキャラクターグッズ等の著作権侵害物品は322件で、同33.5%減となっている。また輸入差止点数についても、商標権侵害物品が そのほとんど占めており、構成比90.6%の101万2538点。著作権侵害物品は同7.3%の8万1191点となった。この数字は品目別件数データにも 表れており、ハンドバッグや財布などのバッグ類が構成比45.1%の1万3843件、衣類が同15.9%4890件、靴類が同9.9%の3027件となっ ている。一方、品目別点数では、医薬品が39万93点で構成比34.9%トップとなっており、次いで衣類、バッグ類と続いている。医薬品は対前年比7.3 倍と急増している。

 これら輸入差止物品はどの国から来ているのか。大方の予想に違わず、中国からのものが多 い。その構成比は実に94.0%にも上り、件数は25007件で前年比17.8%増となっている。以下、香港が構成比2.7%の720件、フィリピンが同 1.2%と続いている。平成14年は中国来の物品は7.9%と少なく、この10年で爆発的に増加。一方、10年前に76.4%を占めていた韓国は1.0% にまで減少している。

 昨年4月に経済産業省が発表した「中国における知的財産権侵害実態調査」によると、調 査対象となった日本企業の6割超が中国において知的財産権侵害を受けたと回答しており、年を追うごとに深刻さは増している。なかでも「不正に商標が侵害さ れた」とする件数は増加しており、2008年度は133件であったのが、2010年度には275件に増加している。中国政府も「知的財産侵害特別摘発活 動」を実施してはいるが一向に効果はなく、抑止力にもなっていない。日中知的財産権ワーキンググループも2009年から開催されてはいるが、焼け石に水で ある。なんら有効な対策が取られていないと言われても仕方のない状態である。中国が「コピー大国」と呼ばれていることは比較的多くの人が了知しているであ ろうが、こうして数字に表すと改めてその実態を思い知らされるであろう。近時はインターネット通販による被害も増加しおり、購入者自身がコピー商品を購入 したと認識していない場合が多い。そうした場合、代金は支払ったものの商品は差し止めされてしまうため、手元には何も残らない。また、金額が不自然に安い など、コピー商品を疑わせる情報があれば判断も付きやすいが、中古品として販売されているなど、消費者を欺く手段も多岐にわたっている。もはや、この問題 を抜本的に解決する策はないのであろうか。(編集担当:井畑学)

http://www.zaikei.co.jp/article/20130304/125957.html

◆日本企業と中国企業のモラルの差違

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)4月6日(月曜日)
   通算第4508号 

山口秀範『名家の家訓――人生を開く「処世の言葉」』(三笠文庫)
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 戦国武将から豪商、そして名もなき一介の庶民から特攻隊の遺書まで、本書はそれら遺訓、もしくは家訓の多彩な名言集の集大成にみえて、一貫して底に流れるテーマがある。
 自己を克己し、国家に忠誠を、人生を有意義に、そして決して浮利を追うなという訓戒である。
ハイリスクの投機に走るなという戒めは古今から日本の道徳の中心でもあった。
 評者(宮崎)はこれらの家訓集を、じつは中国のビジネスマナーと対比させながら読んで、なるほどと膝を打つことしきりだった。要するにこなた日本のビジネスマナーの質の高さ、かなたの質の悪さである。
 戦後のマナジメント理論にしても、ドラッガーにしても、日本はその底流にある精神をくみ取ることに力点を置いて応用したのである。

 たとえば三菱グループの創業者は土佐の岩崎弥太郎である。
岩崎は坂本龍馬らと維新の前夜に活躍し、後藤象二郎の強い後押しで明治維新後は政商の道を逞しく切り開いた。
その三菱の家訓とは
 ――決して投機筋の事業は企てるなかれ
 ――国家的観念をもってすべての事業に当たれ
 ――創業は大胆に守勢は小心なれ

  対比的に中国では国有企業が国家のための営業をせず、民が豊になることに興味はなく、党から派遣された幹部が私利私欲に走り、国家財産を蝕んでいる。投機 が大好きで、博打で一気呵成の財閥になることを夢み、こつこつと地道な投資を馬鹿にしている。目先の利益のためなら大胆に儲けると、あとは野となれ山とな れ、である。
 中国にはついに国家のために尽くす商人はでなかった。カネをためるや、かれらはさっと身を翻して米国へ亡命した。
 つまり長期安定という発想が中国人には欠落している、ないしは乏しいのである。

 住友家の家法は住友商事など住友グループに今日も活かされている
 ――我が営業は信用を重んじ、確実を旨とし以て一家の強固隆盛を期すべし
 ――いやしくも浮利に走り、軽進すべからず

 まったく「信用」のない人たちが「国債信用醸成会議」を主催し(14年夏、北京)、大風呂敷をこれ見よがしに広げて大向こうを狙っても、具体性に欠けるプランを提示するだけという特殊才能に優れる中国人は、「信用の蓄積が重要」というモラルがない。
 拙著『出身地で分かる中国人』(PHP新書)で論じたように信用のネットワークを中国で志士営々と築き挙げたのは山西商人と安徽商人くらいが例外である。
 ネットワーク作りも利権構造で精神的価値をシェアして全体がよくなるという考え方は中国にも韓国にもない。
 義理人情に生きた吉良仁吉は日本人の情緒を激甚に撃つが、中国人にとって、たとえば梁山泊の水滸伝は利害関係の寄せ集め盗賊集団である。そこには侠気がない。
だから目先の利益(浮利)だけが生き甲斐。あの発狂的な不動産投資、売れると分かれば特許も著作権も無視して模造品をつくり、市場を席巻し、やがて過当競争のなかで自滅する生き方を繰り返してきた。
ハリウッド映画の海賊版、日本のアニメのキャラクターの模造品、偽のディズニーランド等々。。。
 韓国も然り、筑波大学大学院の古田博司教授は「韓国に対しては『助けない、教えない、関わらない』を『非韓三原則』にして日本への甘えを断ち切ることが肝要」と説いている。
 助けても教えても恩を仇で返すのが中国と韓国の性格なのだから関わらないのが日本のためになると古田教授も警告するのである。
日本は中国、韓国という市場を失ってもアジアや世界で孤立する心配はまったくない。それが信用という見えない力であり、日本は多くの諸国から決然と支持されている。

 トヨタの始まりは豊田織機である。その豊田家の家訓とは、
 ――上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐるべし
 ――研究と創造に心を到し、常に時流に先んずべし
 ――華美を戒め、質実剛健たるべし 

  世界一の販売量を誇るトヨタでは社長自らが生産現場をおりてエンジニアらと車座になって改良を話し合い、日々、消費者のためによりよいクルマを創ろうとす る創造精神を忘れないが、中国や韓国は経営トップが生産現場にでることもなく、社員に威張るだけ。創造ができないから模倣、技術の盗取が専門となる。
 かくも日本的経営の原点は質実剛健にして至誠を尊重した。地道に「創造に心を至し」「華美戒め」てきたからだが、韓国、中国の模倣精神とのあまりの乖離にむしろ震える。

 渋沢栄一の家訓はどうか。
 ――富貴に傲るべからず貧銭を憂うべからず唯々知識を磨き、徳行を修めて真誠の幸福を期すべし

  中国では権貴階級がBMWやフェラーリを乗り回し、街の乞食には同情する気配もなく、援助を乞われても目もくれず、農民が飢えにあえぎ、住む場所がないと 泣いていても無視する。この成金階級が贅沢をして、高級豪邸を海外にもとめ、愛人の数を競い、超豪華レストランで食し、ファーストクラスで世界を股にしよ うとも、徳がないために世界中で軽蔑されている。
 いまこそ日本の名流の先達らが残した箴言に還ろう。
          ◇◇◇
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 読者の声 どくしゃのこえ READERS‘ OPINIONS 読者之声
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(読 者の声1)トルコの絨毯「ヘレケ」は世界的に有名ですが、この偽物を量産し世界市場を混乱させているのが中国で、なんとトルコ絨毯の名産地が危機に陥った というニュース(日本経済新聞、4月5日社会面)を読んで、またまた中国の模造品が、ついにトルコ経済を襲っているかと思いました。
 ところで、このヘレケ絨毯の偽物に関して宮崎先生も早くから、警告されたレポートを出されていた記憶がありますが、どの著作でしょうか。再読したいと思いますので。
  (HU生、茨城)


(宮崎正弘のコメント)どの拙著からは忘れました。問題は世界ブランド「ヘレケ」ともじって「ヘルケ」とかで輸出するため、トルコ政府は国際機関に提訴しています。
  なにしろイタリアの皮革製品の街=プラドは、いまや中国人だらけ、ブランド品の偽物をつくり、しかも「MADE IN ITALY」として世界に輸出して いるのでたちが悪い。このため、世界ブランドの皮革製品の工場を、多くがトルコのイズミールに移転させたと言われています。

http://melma.com/backnumber_45206_6189913/

 

人民解放軍が習近平の軍に変わるとき

2015-05-26 08:18:34 | 資料
支那七大軍区
支那の国家戦略により組織された軍事組織で、以下の七部隊に分かれている。
・瀋陽軍区 ・済南軍区 ・成都軍区
・北京軍区 ・南京軍区
・蘭州軍区 ・広州軍区
それぞれの軍区は陸・海・空の軍事力を持っており、各軍区の司令の指揮下にある。
1.支那人民解放軍
支那共産党の政党軍隊。対外的には中華人民共和国の事実上の国軍とみなされており、支那軍とも呼ばれる。党の最高軍事指導機関である支那共産党中央軍事委員会の指揮を受ける。

2.国の軍隊ではない

人民解放軍は支那に存在する最大の武装組織だが、これがなんと国の軍隊ではない。支那には国防軍も自衛隊も存在しない。
人民解放軍は支那国民の意志で動くわけではなく、「支那共産党のため」と言う建前だけに従って戦争をすることになっている。

3.中央政府に指揮権は無い

国務院(狭義の意味での支那政府)の国防部は人民解放軍に対する指揮権を持っていない。
だから党主席の立場では軍を完全に掌握するのは難しい、そのために、歴代の最高指導者は軍事委員会主席を兼任している。

日本の自衛隊の統帥権は総理大臣が持っているが、支那の人民解放軍の統帥権は国家主席ではなく、軍事委員会主席が持っている。そのため、国家主席と軍事委員会主席の座を両方得て、初めて支那のトップと言える。

人民解放軍の最高指揮権について憲法や国防法を見てみると、国家元首である国家主席の権限に「宣戦布告」、「動員令発布」を除く明確な人民解放軍への権限について触れられていない。
一方で、(国家)中央軍事委員会は「全国の武装力量を領導する」として、人民解放軍を含む全ての軍事力を指導すると明示されており、人民解放軍の最高指揮権は中央軍事委員会にあると見ることができる。

4.人民解放軍は独立した組織

軍隊は各軍管区ごとに独立採算制で運営されており、軍を維持するために物資等の調達に要する費用などを独自に調達している。
だから国有企業の多くが軍と直結している。
人民解放軍の傘下には,軍需産業のほかに情報通信、繊維、ホテル、その他のさまざまな業種があり利益を吸い上げている。
まさに経済力を持った大商社のような軍隊なのである。

5.コントロールできない

一連の尖閣諸島トラブルにしても北京政府は日本の領海侵犯をせよ、という命令は一切出していない。出先の人民解放軍が勝手にやったことを、知らないといえないから、不本意ながら事後承認してるというのが実情。

6.汚職問題も・・・

◆兵器を密売する中国軍の危機的な腐敗 軍紀低下が高める日中偶発的交戦の可能性

2013.05.30 zakzak

  素材や形状によりレーダーに捕捉されないステルス性能を備えた米軍F22戦闘機が日本に配備されると公表された2007年1月、小欄を仰天させるニュース が流れた。中国人民解放軍戦闘機が「忽然(こつぜん)と消えた」という。ステルス兵器開発は中国軍の悲願だが、技術上の課題は残っているはず。訝(いぶ か)しく思いつつも記事の先を追う。結果、「忽然と消えた」のは「密売」に因(よ)った。香港の月刊紙・動向などが報じた「2004~05特殊案件調査 チーム」の捜査資料には、自衛隊では有り得ぬ“異大(いだい)”な数字が並んだ。

■中国軍人の巨額「役得」

 陜西(せんせい)省の軍需倉庫に保管したミグ15戦闘機の場合、385機が25機に減った。装備更新に伴う後送処分が行われたためで、引き算は合う。ところが、処分すべき360機はアルミ合金として企業に密売、記録は全て焼却されていた。

  四川(しせん)省の軍需倉庫からは戦車や装甲車1800両が解体後、やはり密売された。1996年以降、地上戦力を毎年更新、廃棄待ちの戦車・装甲車やト ラックの内50%はここに保管する。戦車・装甲車のモーターは1基1万元(約16万6000円)で転売され、鉄鋼部分は製鉄会社に持ち込まれた。

 湖南(こなん)省の軍需倉庫では、ソ連製の突撃自動小銃や半自動小銃、米国製カービン銃や拳銃、計27万3000丁が全て「消失」した。高級軍人と地方政府の役人が結託して転売。一部は銃器密売組織により“輸出”された。

  20万平方メートルもある雲南省の軍需倉庫では軍需品の他、大災害時の救援用品や燃料、5億元以上の物資が毎年追加保管されていく。しかし、11年分の備 蓄物資が許可無く売りに出た。2006年の燃料高騰時には、軽油1万7000バレルが3回に分けて“小売り”。書類上は「予備役の演習」「災害救援活動」 名義だった。

 野戦ベッドや軍靴・テント各20万セット、薬品を保管した広西チワン族自治区の軍需倉庫は「もぬけの殻(から)」と化した。

 斯(か)くして、毎年250億~500億元の兵器・軍需物資が後送処分後“廃棄”された。換言すれば、高級軍人と地方政府の役人が結託し「役得の戦利品」を横領、代価を懐に入れていた。

 調査チームは、軍事の最高指導機関・中央軍事委員会の隷下に置かれ、国防大臣を責任者に、兵站を一元管理する軍中央の「総後勤部」副部長らで構成。2年半と難航した調査が、堅牢(けんろう)な癒着構造を物語る。

 だが軍需産業を実質的傘下に収める、この「総後勤部」が食わせモノ。省軍区など地方の上級部隊にも存在する各「後勤部」の高級軍人は、地方政府の役人と結び、横流しに手を染めるケースが多い。

  調査チームの総後勤部副部長とは別人だが、同じ要職にいた谷俊山・中将(56)が、軍用地転売などで20億元もの途方もない“副収入”を得た容疑が12年 に発覚、裁判にかけられた。谷被告の前任で06年に失脚した王守業・中将も、出入り業者から収賄し1億6000万元を不正蓄財。豪邸の大型冷蔵庫には米/ 香港ドルの札束がうなっていた。

■胡錦濤氏も憂慮した腐敗

 既に06年、中央軍事委の将軍ら11人が、当時の胡錦濤(こ・きんとう)総書記(70)と、政策決定機関・中央政治局に、次のような書簡を提出済みだった。

 《社会の腐敗や堕落の悪影響を受け軍紀が乱れ、士気が低下している。早急に解決すべき》

 《地方の党政治部部門や幹部の腐敗・越権や、それに対する人民の不満や怒りは、党の報告よりはるかに深刻。社会の管理基盤は崩壊している》

 胡総書記も12年、全国人民代表大会の軍代表団全体会議で「軍の反腐敗を強化し、軍内の党組織と幹部の清潔を維持せねばならない」と訴えた。

 そうした中、軍を指揮する総参謀部は、習近平(しゅう・きんぺい)総書記(59)が作成を命じた「13年軍事訓練指示」を通し、全軍に「戦争準備せよ」と下達(かたつ)した。

  さらに、中央軍事委主席に就任したばかりの習総書記による「広州軍区」視察(12年12月)にあたり、中国メディアは実戦時や実戦想定時の呼称「広州戦 区」を用いた。「戦区」なる呼称は、民主的総統選挙を恫喝(どうかつ)すべく台湾近海にミサイルを撃ち込んだ1996年の台湾危機で、中国メディアが使っ て以来の登場。

 しかも視察の際、全軍に「三つの銘記」を号令した。内容は(1)共産党による指揮厳守が強軍の魂(2)戦争遂行と、その勝利が強軍の要-と勇ましい。

  ただ、小欄は「軍法に従った厳正監理が軍の基(もとい)」と謳(うた)う(3)に注目する。習総書記は同じ時期「軍内部での職権売買や汚職・腐敗」を批判 し「このままで本当に戦争ができるのか」と糾弾。軍紀・軍法に責任を持ち、軍内検察機関を管轄する総政治部と中央軍事委も軍紀引き締めの教育活動を指示し た。

 尖閣諸島奪取に向け、戦力投入を厭わぬ中国が、環境創りを始めた可能性は濃厚だ。同時に、日本との緊張 状態を演出して、軍内基盤が脆弱(ぜいじゃく)な習総書記がタカ派の軍高官を優遇し、軍内での権威を確立せんとする狙い。また、緊張状態による軍紀立て直 しを図る、複数の側面を併せ持つ。

■軍紀弛緩が呼ぶ偶発戦

  確かに軍精強性の尺度は、いかに厳正なモラル=軍紀を保ち、旺盛なモラール=士気を維持できるか。軍紀が乱れれば士気も落ちる。従って、わが国として、中 国軍が放つ腐臭は歓迎する。一方で、軍紀の弛緩(しかん)は「偶発的交戦」確率を高める。軍紀粛正が失敗続きでも、将兵の不満をそらすべく「限定的戦争」 を起こす危険も現実味を帯びていく。歓迎ばかりしていられぬ「戦況」なのだ。

 ところで、予算不足に悩む自衛隊を表した川柳がある。

 ♪たまに撃つ 弾が無いのが玉に瑕(きず)

 中国軍は別の意味、即(すなわ)ち軍需品横流しの横行で、戦争に臨み「弾」が不足するかもしれない。そこまで腐れば「偶発的交戦」も「限定的戦争」も困難だが、もはや軍の体をなさない。盗賊やヤクザでさえイザというときに備え、弾は残すが…。

 (政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS)
http://www.zakzak.co.jp/society/foreign/news/20130530/frn1305301037000-n1.htm

◆人民解放軍幹部 収賄200億元に映画スターや歌手など愛人5人

2013.06.30  Social News Network

  政権発足以来、習近平・国家主席がとりわけ力を注いでいるのが軍権掌握と軍の腐敗撲滅だ。これが政策の両輪といえる。軍内には依然として江沢民や胡錦濤時 代の影響が色濃く残っているが、習近平の「戦えば勝つ」という直接的で分かりやすいスローガンは軍内でも評判が良い。その一方、軍内の腐敗撲滅は大問題 で、「軍は腐敗の巣窟」といわれるだけに遅々として進んでいない。

 北京の軍関係筋が明らかにしたところで は、習近平は軍事委主席就任後、軍内の腐敗撲滅のシンボルとして谷俊山・人民解放軍総後勤部副部長のケースを考えていた。昨年1月、汚職容疑で身柄を拘束 し、翌月には全職務を解任した。谷は兵站部門を担当する総後勤部内でも将兵らの宿舎などを建設する不動産部門の担当が長く、土地取得や建設資材の調達など で業者から多額の賄賂を受け取っていた疑いが持たれている。

 すでに報道されているだけで、収賄額は200億元(約3300億円)に達し、職権を利用して私物化した邸宅は北京や上海など都心部の一等地300か所に及び、7000平方メートルの豪邸まである。

 それらの豪邸には中国産の最高級酒、貴州茅台(マオタイ)酒が1300ダース、計1万5600本も秘蔵され、高級ワイン1万本以上が発見された。

 腐敗幹部の通例として女性関係も派手で、有り余る金にものを言わせて多数の女性と関係を持ち、少なくとも映画スターや歌手など5人を愛人として囲っていたとされる。

 このような悪行が露見しなかったのは、「江沢民ら最高幹部への付け届けを怠らなかったためで、谷はやりたい放題だった」と同筋は明かす。

  しかし世の中には硬骨漢もいるもので、谷にとって悪いことには、それが直属の元上司、劉源・総後勤部政治委員だった。劉源は劉少奇・元国家主席(故人)の 息子で、財産も権力も名誉も兼ね備えている。習近平の無二の親友でもあり怖いもの知らず。告発の仕方も大胆だった。2011年末に北京で開かれた軍事委拡 大会議で谷の豪邸の写真をかざし、腐敗を明らかにしたのだ。

 これで谷は失脚し、さらに習近平が軍トップに就 いたことで徹底調査が開始された。その余波で、谷の金が流れていたと噂される徐才厚・前中央軍事委副主席も渦中の人となった。徐は国家中央軍事委副主席 だった今年3月、全国人民代表大会にも姿を見せず、身柄を拘束されたとの観測が高まっていた。と、ここまでは習近平も順調だった。

 ところがその後、徐は4月下旬に出版された王喜斌・中国国防大学長の著書に序文を寄せたと発表され、間接的に身柄拘束が否定された。これは徐と緊密な関係にある江沢民が動いたとの情報もある。

 徐のケースからも、習近平の軍内腐敗撲滅の第1弾は不発に終わった可能性が高い。

■文:ウィリー・ラム 翻訳・構成/相馬勝

※SAPIO2013年7月号

http://snn.getnews.jp/archives/111304

◆中国軍、汚職防止へ軍施設の建設・売却管理を強化

2014年 02月 20日 Reuters

[北京 20日 ロイター] - 中国人民解放軍は20日、汚職防止策の一環として、軍施設の建設・売却に関する管理を強化する方針を示した。適切な会計処理を進め、取引の透明化を図ることが狙い。

人民解放軍では1990年代後半に汚職の取り締まりを強化したが、近年は管理体制の不備などで再び汚職が増えている。

人民解放軍機関紙の解放軍報に掲載された新規則によると、軍施設の売却で調達した資金は適切な時期に全額、軍に引き渡すことが義務付けられる。事前に承認された計画とは異なる新規の施設建設も禁じられる。新規則は3月1日に発効する。

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPTYEA1J04820140220

◆中国軍の変化と[A2/AD」の読み方
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月11日(月曜日)
   通算第4536号  
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 内規が次々と破られ、変身する中国共産党と人民解放軍
  軍高官の外国訪問は外国での軍事展開の頻度に比例して増えた
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 米国は中国の最近の軍事戦略の変化を「ゲーム・チャンジ」と位置づけ、その中枢にある考え方は「A2/AD」(接近阻止・領域拒否)にあると見ている。
 軍事評論家は、南シナ海の九等線を「サラミ作戦」とも命名している。
 オバマ政権の対応が「アジア・リバランス」と「ピボット」だったことは従来も述べてきた。

 中国軍にはいくつかの内部規定があり、これまでは次のポイントが厳格に守られてきた。
 第一に軍事委員会メンバーの外国訪問は年に一回
 第二に国際会議への出席を除き、軍高官は同じ国を二度訪問しない
 第三に外国からの同じ高官との面会も二度はない
 第四に国防大臣は相手国の同格の賓客をもてなす必要はない。
 第五に軍高官の外国訪問、あるいは外国からの軍高官の受け入れは時期が限定される。

 ところが近年、ソマリア沖の海賊退治への中国海軍の派遣から、国連軍への派兵協力に応じるようになり、同時に中国艦船の外国訪問は50回を越えた。
また外国海軍の中国の港湾へ親善訪問も100回を超え、外国軍との共同軍事演習(とくに露西亜と)も頻度が激しくなった。

 あまつさえ中国軍が主催する国際会議や学術シンポジウムが頻度激しく行われるようになり、外国の中国大使館への駐在武官派遣もいまでは108ヶ国に及んでいる(日本の駐在武官は九ケ国のみ)。
 こうなると中国の軍人も或る程度の国際常識を理解し始めたことを意味する。かくして中国軍の「国際化」とでもいえる微妙な変化に注目しておく必要がある。

▼「太子党」の軍高官らが再浮上した背景

 ならば軍事委員会主任の習近平に近く、もっとも影響力がある軍人とは誰だろう。
 表面的ランクから言えばナンバーツーは許基亮と氾長龍である。ともに団派に近く、胡錦涛が任命した人事である。
したがって習近平にとっては煙たい存在である。

 最近の中国の特色は外交方針に軍人の意見が強く反映されるようになったことだ。
習のいう「中国の夢」のイデオローグは、外交安全保障面では王炉寧、栗戦書らと推定されるが、軍人アドバイザーは軍事委員会のメンバーではなく、「太子党」の先輩らである。

 げんに中央委員会には軍人が二人の指定席があるのに、外交部からの中央委委員は不在である。外交部は、江沢民系の人々が多いため、軍とはしっくりいっておらず、同時に相互不信、相互軽蔑。
外交部の外交官等は知識力において軍を馬鹿にしており、軍は軍で頭でっかちの理論家を軽蔑している。
しかし基本的に「政権は銃口から生まれる」(毛沢東)ように、暴力装置というパワーを掌握する者が権力を握るのは古今東西、世の倣(なら)いである。

日本のメディアが発言に注目する王毅外相は中央委員にも入っておらず党内序列はきわめて低い。そのうえの外交上の先輩格は国務委員(副首相クラス)に昇格した楊潔チ(前外相)と唐家旋だが、ふたりとも習近平からは距離を置かれている模様だ。

となると、誰が軍事方面での助言を習にしているのか。
 一時は影響力を削がれていたと観測された(とくに胡錦涛時代に)劉源と、劉亜洲が習近平のブレーンとして復活しているようである(ジェイムズタウン財団「チャイナブリーフ」15年4月3日号)。

 同誌に寄稿したウィリー・ラムに拠れば、この劉源と劉亜洲が「習のプライベート・シンクタンク」だという。ウィリー・ラムは香港を拠点とする著名なチャイナウォッチャーである。

 劉源は、劉少奇の息子。劉亜洲は李先念の女婿。太子党出身の軍人ゆえ、つねに軍のなかで枢要なポストを占め、重視されてきた。

 劉源は「進軍ラッパ」的な軍国主義的発言を抑制させ、いま戦争をおこすような誤解を与える強硬発言をたしなめてきたが、「軍事力のないリッチな国とは、すぐに処分される太った羊だ」と比喩し、中国軍の軍拡を支持する一方で、暗に日本を批判した。
 劉亜洲は「反日」軍人のトップであり、恒に強硬発言で知られるが、軍のなかで、浮き上がった存在とされた。

▼現実の世界をようやく認識できた

 軍の人脈構造が変化した最大の理由は江沢民派の軍人らの総退場である。
 胡錦涛時代の十年間、江沢民は軍を抑えることによって「院政」を行えたのだ。
 しかし江沢民が入退院を繰り返し、パワーが弱体化するようになると、江沢民に連なる軍高官の「悪運」もつきた。

 前副主任の徐才厚と郭伯雄が失脚したが、とくに徐才厚は三月に死去し、郭伯雄は息子の郭正鋼が(浙江省軍区副政治委員)の取り調べを受けて以来、周囲を埋められてから、失脚が発表された。軍のなかで反抗する勢力を、気がつけば失っていた。
軍高官の失脚は34人(15年四月末現在)におよび、江沢民派の軍人高官がほぼ居なくなった。

 こうした状況を踏まえた習近平は次に軍高層部の側近を支える副官クラス、オフィスの書記クラスを自派に配置換えし、団派である許基亮、氾長龍そして総参謀不調の房峰輝の動きを睨むことにした。
 そのうえで、モスクワの軍事パレード参加には氾長龍を随行させる次第となった。
 
 そして軍の中に顕著な変化が現れた。
依 然として「国軍化」議論はタブーだが、軍事メディアや『環球時報』に寄稿した王ゼンハン(前南京軍区副司令。音訳不明)などは、(党中央がいうような) 「日本に軍国主義が復活することは不可能である。中国の軍理論は現実を対応していない。理論上の虚偽である」と言ってのけ、もっと現実的な外交的努力をす るべきと訴えた(環境時報、14年10月9日、ならびに解放軍報、15年1月29日)

 こうしてハト派のような現実的な理論が軍にも登場した背景には国際貢献がある。
 PLAは、近年も海賊退治、エボラ熱発生時の外国人退去支援、マレーシア航空機行方不明捜査協力、そしてシャングリア対話への積極的参加を、その国際的な機関や、作戦への協力体制ができあがった。
 四月のネパール大地震でも、真っ先に救援隊を派遣し、印度と援助を競った。

  とはいえ、南シナ海の中国軍の行動は、上記国際貢献とは矛盾しており、スプラトリー諸島(南沙諸島)の埋立はすでに二万平方キロ、昨年末から四倍に膨張し ており、ペンタゴンは「郡民の作戦拠点に使える規模」である、ミサイルや駆逐艦の増強ぶりからも中国の戦略である「A2/AD」は達成可能なレベルにまで 建築、軍拡が進捗している。

http://melma.com/backnumber_45206_6205340/

◆人民解放軍の変化に注目が必要

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月25日(月曜日)
   通算第4550号 
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 中国軍の実質上のトップに范長龍(副主席)が急浮上
  習近平の「軍事外交」の姿勢強調で、世界の顔になってきた
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 先週、ケリー米国務長官が訪中の折、中国人民解放軍を代表して会見したのは范長龍だった。
 范長龍は党中央軍事委員会副主任で、形式上の主席は習近平だから、実質的には軍のトップである。

直前、モスクワの戦捷70周年軍事パレードへも、習近平に随行してロシア入りした。秋の習訪米でも、この范長龍が随行(事実上は先乗り)することが発表されているほか、年内のインド訪問も予定されている。
 かれはミャンマーも訪問しており、インド訪問は二回目となる。

 范長龍は軍事委員会副主任だから、許基亮と並んで実質的な軍のトップ、范と許は、中央政治局委員でもある。

 従来、軍の十名の軍事委員会メンバーのなかで明らかな団派は、許基亮、房峰輝ほかと考えられ、范長龍は「中立だが、団派に近い」と拙著『中国を動かす百人』(双葉社)でも、指摘したが、過去二年の動きから、范はもっとも習近平に近いことが歴然としてきた。

 習近平から信頼を置かれたのは、たとえ胡錦涛による人事だったとはいえ、団派に一定の距離をおき、上海人脈の軍人とは遠い関係だったことが幸いしたといえる。

 范は1969年に入隊し、軍人として一歩一歩たたき上げ、習が福州党軍事委員会第一書記の頃からのつきあいがある。

 ▼中国人民解放軍は窯変したのだろうか?

 米国国防大学の「中国軍事研究センター」フォローの黄叡雅(アレキシス・デール・ホアン)女史に拠れば「最近の中国軍は国際的な場面に頻繁に登場するようになり、そうした国際化に理解を示す軍人トップとして范長龍が重宝され始めた」と分析している。

 この黄色女史の分析は注目されている。
 「軍事外交の新段階にはいった中国は外国の軍との交流(相互訪問、共同演習)を外交の根幹に位置づけており、中国の安全保障の維持に軍事外交こそが重大な役割を果たすと習近平が演説しているところからも、外交とセットになっている」

事実、中国軍の外国軍との共同軍事演習は2006年までゼロ、07年に五回行われ、2013年と14年は各々七回となった。

 とくに「2014年以後は「人道支援」と「災害救助」が本格化し、MH370便の諸外国との共同捜索作戦から、アセアン、ロシア、ニュージーランドなどとの国際連携、いまでは中国軍の共同演習が、全演習の65%を占めるまでになった」(チャイナハンド、4月12日号)。

 しかし、このように俄な中国人民解放軍の窯変は何時まで続くのだろうか?
  
http://melma.com/backnumber_45206_6212192/
◆令計画失脚後、共産党中枢はだれが司どっているのか
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月15日(金曜日)弐
   通算第4542号 
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 令計画の失脚後、共産党中枢部はどうなったか?
  誰が中央権力の中枢部を掌握しているのか、栗戦書か? 孫春蘭か?
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 胡錦涛政権の中枢を担ったのは団派の令計画だった。息子のフェラーリ事故のもみ消しを、こともあろうに胡錦涛の政敵、周永康(当時、政治局常務委員)に依頼し、旗色が悪くなるや習近平に胡麻をすったが、失脚は避けられなかった。

実弟の令完成が機密文書を持ち出した郭文貴と同時に米国へ逃亡し、慌てた王岐山が密かに渡米したとか、しないとか。中南海の権力中枢で起きているのは内ゲバの後遺症である(その機密文書には北京市長時代の王岐山自身の汚職が書かれているということは先述した)。

 令計画は2012年9月に中央弁公室主任の座を突如引きづり降ろされ、統一戦線部長となった。事実上の降格である。
この統戦部長は、本来なら出世コースだが、令計画はすぐに外され、14年12月に失脚した。

 後継リリーフは女傑、孫春蘭(前天津市書記、政治局員)である。
 そして2015年四月、ふたりの新人副部長が任命された。政商副主席の王正偉と甘粛省の統戦部長だった苒萬祥である。

 もう一つ、令計画がつとめた中央弁公室主任は栗戦書になった。栗戦書は団派だが、下放されて下積みの時代に、習近平と肝胆合い照らず仲となった。
12年9月に就任し、翌年四月、二人の令計画の秘書役だった張建平と趙勝軒(ともに弁公室副主任)が取り調べを受けていることが判明した。

14年12月に中弁室秘書局長だった藿克、室局長だった陳瑞坪(女)が取り調べを受けていたことがわかり、藿は失脚した。

 2015年になって二月に王仲田(副主任)が取り調べをうけ、翌月に丁考文(調査研究局長)が中弁室の部長代理に、そして曹清(前警備局長)は習近平に引き抜かれ北京軍区司令員に二弾跳び出世と相成った。

 相関図を総覧すると、現在の習政権の制度上、中枢を司る中央弁公室は栗戦書が中心となって回り出したようである。栗戦書の次期政治局常任委員会入りは間違いないと言われる。

 ▼江沢民派は断崖絶壁? 四分五裂の乱調が明らかに

  版腐敗キャンペ-ンの究極の目標、つまり「大虎」は江沢民だが、もし習・王コンビの「版腐敗」が江沢民まで狙うとなると、かりにも国家主席、総書記、軍主 任の三権を掌握した国家元首のスキャンダルを内外に露呈することになり、これは国家としての中国の恥辱、歴史上の汚点になる。

習近平がそこまで考えているとは思われず、もうひとりの大虎、曽慶紅の拘束・逮捕・起訴も考えにくい。

 しかし、これだけ追求の手がのびて上海閥の評判が悪いとなると、くるりと親分の批判をはじめる元高官もいれば、自己批判をする高官もでてくる。
醜い人間模様である。

  呉邦邦(元常務委員)は、江西省視察に現れて各地で「反腐敗による党の綱紀粛正を評価し、特権にアグラをかいた政治は改めるべきだ」などときれい事をなら べながら嘗ての同僚を猛烈に批判したという。呉は江沢民の番犬として特段の出世をとげた、いってみれば江沢民の忠臣ではなかったのか。

 他方、「自首」が伝えられるのは戴相龍である。
 金融界の大物、戴相龍は元中央銀行総裁、天津市長、かれは長らく金融界に君臨し、全国社会保障基金理事長と栄達をきわめた人物である。その戴相龍が、当局に「腐敗バンカー」リストと罪状を告白し懺悔したなどと、まことしやかな噂が飛び交っている。

 戴相龍リストには、中国の銀行頭取、副頭取、理事長、副理事長クラスおよそ50名が列挙されており、具体的に香港での資金洗浄からタックスヘブンへの不正送金補助、高官の海外への財産隠しを手伝った具体例を列挙しているそうな。

 切っ掛けは戴相龍の女婿、車峰が米国に逃亡した郭文貴の豪邸購入に連座しており、この郭文書の発覚によって元国家公安部長の馬建が失脚し、周永康の逮捕、拘束へと繋がったからで、戴相龍は連座で拘束されるおそれがあり、その前に自首したと『争鳴』五月号が報じた。
 
 中南海の深い闇の一端が暴露された。

http://melma.com/backnumber_45206_6207475/
◆中国軍の主流は南京軍区出身者に

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月12日(火曜日)
   通算第4537号  
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 そして軍内に山東省人脈に負けず劣らず、江蘇省人脈が急拡大
  人民解放軍の高官は南京軍区出身者が最多に
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 山東省は孫子を生んだ故郷でもあり、軍人がやけに多い地域である。
 中国共産党のいう「抗日戦争」でも「英雄」が輩出したのは山東省だった(抗日戦争の主体は国民党だったが、これについては、この稿では触れない)。

  胡錦涛時代、軍閥の台頭や地域的人脈の特性よりも、宇宙・航空関連、とりわけミサイルの開発に功労のあった軍人が多数出世した。習近平政権は、この点も重 視するが、軍の統一と団結を維持するために、地方軍閥化を懼れずに、江蘇省関係者ならびに南京軍区出身者を幹部に多数抜擢し始めた。

 最近の44名の軍高官の人事異動がなされたが、山東省、江蘇省出身がそれぞれ8名。ついで遼寧省、河北省、河南省、浙江省出身が各四名。異様である。

 山東省出身は軍委員会副主任の許基亮、第二砲兵司令員の魏鳳和、副参謀長の威建国、総装備部副政治委員の王洪晃、北京軍区司令の宋普洗らである。
 また上記44名中、40歳代が5名、ほかの大半が50歳代で若返りが目立つ。

 また出身地比較ばかりか、勤務の長い出身軍区をみると44名中、14名が南京軍区勤務経験者がしめており、南京閥を形成している。
南京軍区は前身が新四軍、華東野戦軍、第三野戦軍。国共内戦で活躍した第四野戦軍出身者が革命以後、軍の主要ポストをしめたが、最近は南京軍区出身者が主流ということになったようだ。

 他方、エリート軍といわれる瀋陽軍区出身は副主任の范長龍と許基亮、総参謀部長の房峰輝、国防部長の常万全、武装警察主因の王寧らである。
       
http://melma.com/backnumber_45206_6205906/
胡錦涛も叶わなかった人民解放軍の腐敗に習近平が初めて大鉈を振るった。だが軍全体に行き渡った腐敗の根は余りにも深すぎる。急な入れ替えで身体を危うくする軍閥がいつ発起するかという危険が常につきまとう。それ程腐った根が深く広く地中に蔓延っている。
軍への就職は一人っ子政策による就職の花形だった。コネと賄賂で入隊を果たし、次々と金で階級を買う。軍の兵器のみならず戦車や戦闘機まで売り払って金をため、それで更に上の階級を買う。既得権益に汚染された人民解放軍にようやく習近平が手を着けた。
それは時に習近平自身に危機をもたらす危険に満ちている。江沢民が抱えて来た軍閥も四分五裂を始めた。しかし習国家主席に対する逆恨みは根深く存在する。
習近平は軍の刷新と共に露骨に南シナ海への覇権を求め始めた。流石に優柔不断のオバ マもこれには慌てただろう。周囲をして一斉に非難を始めたが、いままで支那への優柔策が故、自分の声ではなんら強硬な抗議を発しない。いまだに自分だけは 友好的なオバマで居続けようとしているように見える。だが岩礁埋め立てによる滑走路や港湾施設は明らかに周辺各国を脅かし、日本のシーレーンを危険に曝す ことになる。とても見逃せる所行ではない。人民解放軍はいつ暴走するかも分らないほど末端は混乱している。
   
大東亜戦争は米国により石油や物資の輸送路を止められ、日本の息の根が止められよう とした。資源を何も持たない日本にとっては「石油の一滴は血の一滴」と言われたほど致命的な行為である。「座して死を待つ」ことを潔しとしない日本は、負 けるのを承知で白人世界へ挑戦し討って出た。
それを支那は再び行おうとしている。だが今回はまったく条件が違う。米国は日本の同盟国であり半島を除き東南アジアを始め周辺国の殆どすべてが日本の友好国である。しかもハッキリ言って、日本の海軍力は支那海軍ではとても歯が立たないほど強い。
日本の憲法改憲を急がねば、日本だけでなくアジア全体が危険に晒されている。今の日本憲法に抑止力は無い。
                 目覚めよ日本!

ますます孤立化を深める習近平

2015-05-24 06:03:47 | 資料
習近平は経済政策でも主導権を李首相からもぎ取る腹づもり

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月20日(水曜日)
   通算第4545号 
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 中国の新経済政策「海と陸のシルクロード」は、中味より習近平の人事
  どうやら李克強首相から経済政策の主導権を取り上げるつもりらしい
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 中国の矢継ぎ早やな新経済政策は、あきらかに党主導に移り、従来、経済政策立案、実践の責任を負った国務院から主導権をもぎとったかたちに変化している。
 つまり改革開放路線の根幹にあった自由競争、市場経済、規制緩和とは逆の方向へ習近平は舵取りをかえ、中央集権的な「計画経済」への復帰が濃厚なのである。

 「マクロ経済の調整と経済コントロール」が党主導へ復帰する。
 この路線修正の中軸は習近平の考え方が強く反映されており、つぎつぎとつくられた経済政策専門委員会には改革志向の強い団派が少数派となっている。

 顕著な変化は「一帯一路」にまつわる多くのプロジェクトの中味である。
 私企業の軽視、市場経済度外視。そして国有企業の参画、そのプロジェクトと予算配分の全容を見れば、国務院のすすめる産業再編という大きな方向性が軽視され、もうひとつ重大なことは国務院が進めてきた「規制緩和」は無言の裡に無視され、むしろ党主導で「規制強化」の方向にむかっていることである。

 「自由競争」ではなく、「国有企業の強化」が、習近平の「一帯一路」プロジェクトの内容に濃厚に現れた。
たとえば国有企業大手のCSCEC(「建設技術協力公司」)は、過去、116ヶ国で6000件のプロジェクトを担当してきた。おなじく国有大手のCCCCL(「通信建設公司」)は各地のハイウェイ、橋梁、商業港などを建設した。
 CAMSE(中国エンジニア集団)は露西亜、アフリカ、東欧諸国でのプロジェクトを担当してきた。この三つの国有企業建設集団は、「一帯一路」の発表に平行して株価が高騰している(ジェイムズタウン財団発行「チャイナブリーフ」、15年5月15日)。


 ▼地方政府にも露骨な格差

 付随して通信大手のフアウエイ(華為技術)とZTE(中興通訊)も、プロジェクトに付随する通信施設、機器類の入札を有利に進め、殆どを生産することになる。

 もっと驚くことに「一帯一路」の責任者は李克強首相ではなく、政治局常務委員の張高麗がトップとなって、この人事ではじめて習近平の露骨な狙いが判明した。
 張高麗は江沢民の腰巾着、露骨なごますりで出世した政治家である。

 また中国各地の地方政府にとっても、この一帯一路で潤うのは新彊ウィグル自治区と福建省であることが浮き彫りとなった。地方政府のコントロールにも、一帯一路プロジェクトが政治的利用され、習近平政権への収斂がなされている。
 新彊ウイグル自治区や福建省が、一帯一路の輸送拠点となるからだ。

 他方、置いてきぼりの地方政府の筆頭は江蘇省で、ついで煙台、青島、威海衛などの良好をかかえる山東省、山岳のチベット自治区なども、恩恵にあずかれそうにない。また置いてきぼりになる懼れが強いのは東北三省(遼寧省、吉林省、黒竜江省)である。
 遼寧省は大連が国際貿易港としても機能しており、黒竜江省はロシアとの鉄道、パイプライン並びに木材のトラック輸送のアクセスとして繁栄しているが、とりわけ吉林省が取り残される。

吉林省の東端にある王軍春(ホウチュン)にはロシア国境に工業団地がはやばやと建設され、ロシアのポシェット港とをつなぎ、日本と米国を結ぶ最短ルートとして開発が決定され工事もほぼ終了した。
にもかかわらず実際には本格稼働に至らず、また中国の一帯一路は、日本とアメリカを向いてはいない。
       
http://melma.com/backnumber_45206_6209754/
◆誰も信じられない 国家主席を悩ます刺客の影
2015/5/20 日本経済新聞
 その日、中国国家主席、習近平の表情は疲労の色が濃かった。まぶたは腫れぼったく、睡眠が不足している。年に1度の晴れ舞台が始まるのに、上の空と言って良い。

 「心ここにあらず。別の重大事を考えているように見えた」

 習ら最高指導者らがずらりと並ぶ人民大会堂のひな壇に近い席に座っていた中国の代表の声である。

  3月初旬から北京で開かれた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)と全国政治協商会議。北京に駐在する外国人記者らにとって「チャイナ・セブン」の表情 をじっくり観察できる貴重な機会だ。約2週間の開会中、ひな壇には繰り返し習、首相の李克強、規律検査担当の王岐山ら政治局常務委員7人が長時間、並ぶ。

■女性スタッフを見つめる鋭い視線

  おかしな事は他にもあった。ひな壇の中央に座る習。彼が会議中に飲むお茶用の蓋付き茶わんは、着席する直前に単独で運ばれてくる。他の政治局常務委員6人 とは違う特別扱いだ。大役を担うのは、容姿端麗なえりすぐりの女性サービススタッフである。彼女は恭しくお湯を注いでから蓋を閉じ、両手で茶わんを運ぶ。 この日、女性スタッフの動きをじっと見つめる鋭い視線があった。2人の黒服の男性要員が左右から監視したのだ。女性スタッフの一挙手一投足も見逃さないと いうように。

 こうした男性要員が、目立つ形で登場したのは今回が初めてだ。会議の途中、着席している「チャイナ・セブン」が飲む茶のわんに、後ろから湯を足す役割も、これまでの女性スタッフではなく、男性要員が担った。彼らには、お茶のサービスだけではない特別の任務があった。

 「毒を盛られないように始終、監視する役割だ。万一、壇上に暴漢が現れても訓練された男性なら対処できる」

 北京の事情通がささやく。男性要員は身分を隠しているが、習らに極めて近い信頼できる人物である。逆に見れば、お茶くみの女性といえども今の習には信用できない、ということになる。大量に捕まえた軍、公安・警察などの関係者が紛れ込んでいる可能性を排除できないのだ。

 2週間にわたって日々、ひな壇を観察していると、小さな変化に気が付く。女性スタッフのお茶運びを直接、監視する男性要員は終盤になると2人から1人に減った。

  一連の動きは何を意味するのか。実は3月初旬、全人代の開幕のころ共産党内部で緊張が高まっていた。謎を解くカギは、習らの警備責任者の相次ぐ交代にあ る。習は3月にかけて中国版シークレット・サービスを束ねる共産党中央警衛局長と、北京市公安局長の交代を決め、実行した。不安に駆られて追い込まれた、 と言っても良い。

■政敵側の人物が自らを護衛

 習ら最高指導部メンバーの北京での執務、居住区は「中南海」と呼ばれる。特別地区の警備、要人の警護を担当するのが中央警衛局だ。中央警衛局は、共産党中央弁公庁と人民解放軍総参謀部の直属組織で、多数の警護官は軍人である。

 ただ、警衛局の人事を仕切るのは中央弁公庁主任になる。この役職には時のトップの側近が就任する慣例がある。日本でいえば内閣官房長官のような立場だ。


 歴代の中央警衛局長で有名なのが文化大革命の「四人組」逮捕で大きな役割を果たし た汪東興だ。汪は1976年当時、中央弁公庁主任も兼ねていた。このポストに信頼できる腹心を据えなければ、いざ政局が動いた際、迅速な措置をとれず、戦 いに敗れてしまう。警衛局長はそれほど権力闘争の現場に近い重職と言える。

 今回の問題は、更迭された前任の 中央警衛局長らの人事を事実上、取り仕切ったのが、習が先に摘発した前中央弁公庁主任、令計画だった点だ。令は前国家主席、胡錦濤の側近である。現在の中 央弁公庁主任、栗戦書は習が信頼する側近中の側近。とはいえ習の安全に責任を持つ現警衛局長が、捕まえた政敵である令と万一つながっていれば、夜もおちお ち眠れない。

 しかも令は「新四人組クーデター」を画策したと噂される。服役している元重慶市党委員会書記の薄熙来、起訴された前最高指導部メンバーの周永康、軍の元制服組トップ級だった徐才厚(摘発後、3月に死去)と組み、習政権誕生を阻もうとしたと言うのだ。

 習は不測の事態を恐れていた。命を狙われる危険を含めてだ。この1年間で習は各地を何回となく視察している。その際、いったん配置した警備要員を信頼できず、自らが到着する5分前になって突然、数百人を入れ替えた異例のケースもあった。

 このほど登用した新しい中央警衛局長、王少軍は昨年12月に習が江蘇省を視察した際、その左右で身辺警護をじかに指揮していた。

■「大虎」は公安の親分

 「この数年、習主席は20回近くも命を狙われる可能性を指摘される場面があった。中でも最も危ないのが江蘇省。捕まえた大虎、周永康の本拠地だからだ。しかも周は公安、武装警察の親分だった」


周永康・前政治局常務委員(左)と、徐才厚・前中央軍事委員会副主席(2012年11月)
 関係者が懸念していた江蘇省入りで王少軍を用いたのは、習が信頼している証拠である。

 警備責任者の交代は当然だったが、摩擦、混乱も大きかった。それは習が中央警衛局長だけではなく、令計画につながる中央弁公庁や警衛局の人員の大量更迭にも踏み切ったからだ。

  党統一戦線部の部長を務めていた令の摘発公表は、昨年12月22日だった。翌年3月の全人代まで2カ月半もなかった。しかも2月には旧正月の長期休暇も あった。極めて短期間で人員を大量に入れ替える必要がある。異例の事態だった。当然、仕事は滞る。それは全人代の準備を含めた混乱を生み、習自身に跳ね 返ってくる。

 自ら仕掛けた「反腐敗」という名の権力闘争。その副作用が身辺の安全への不安だった。晴れ舞台を前に十分眠れない。それは中国トップにとって大きな負担である。(敬称略)

◆アメリカとの対立も辞さない習近平  「米中冷戦時代」の到来か

2015年05月22日  石 平 WEDGE Infinity

 先月末から今月中旬までの日米中露の4カ国による一連の外交上の動きは、アジア太平洋地域における「新しい冷戦時代」の幕開けを予感させるものとなった。

  まず注目すべきなのは、先月26日からの安倍晋三首相の米国訪問である。この訪問において、自衛隊と米軍との軍事連携の全面強化を意味するガイドラインの 歴史的再改定が実現され、日米主導のアジア太平洋経済圏構築を目指すTPPの早期締結の合意がなされた。政治・経済・軍事の多方面における日米一体化はこ れで一段と進むこととなろう。

 オバマ大統領の安倍首相に対する歓待も、日米の親密ぶりを強く印象付けた。そ して5月1日掲載の拙稿で指摘しているように、アメリカとの歴史的和解と未来志向を強く訴えた安倍首相の米国議会演説は、アメリカの議員たちの心を強く 打った。この一連の外交日程を通じて、まさに安倍演説の訴えた通り、両国関係は未来に向けた「希望の同盟関係」の佳境に入った。

 もちろんその際、日米同盟の強化に尽力した両国首脳の視線の先にあるのは、太平洋の向こうの中国という国である。ある意味で、日米関係強化の「裏の立役者」は習近平国家主席その人なのである。

「アメリカとの対立も辞さない」という中国のメッセージ

  2012年11月の発足以来、習政権は鄧小平時代以来の「韬光養晦戦略」(能在る鷹は爪隠す)を放棄して、アジアにおける中国の覇権樹立を目指して本格的 に動き出した。13年11月の防空識別圏設定はその第一歩であったが、それ以来、南シナ海の島々での埋め立てや軍事基地の建設を着々と進めるなど、中国は アジアの平和と秩序を根底から脅かすような冒険的行動を次から次へと起こしてきた。

 習主席はまた、「アジア の安全はアジア人自身が守る」という意味合いの「アジア新安全観」を唱え始めたが、それはどう考えても、「アジア人」ではないアメリカの軍事的影響力をア ジアから閉め出そうとするための理論武装である。「米国排除」を露骨に訴えたこのようなスローガンを掲げることによって、習政権はアメリカとの対立姿勢を 明確にしている。

 その一方、習主席はアメリカに対して、「太平洋は広いから米中両国を十分に収容できる」と いう趣旨のセリフを盛んに繰り返している。上述の「アジア新安全観」と照らし合わせてみると、中国の戦略的考えは明々白々である。要するに、太平洋を東側 と西側にわけてその東側をアメリカの勢力範囲として容認する一方、太平洋の西側、すなわちアジア地域の南シナ海や東シナ海からアメリカの軍事力を閉め出 し、中国の支配地域にする考えだ。

 つまり、「太平洋における両国の覇権の棲み分けによって中国はアメリカと 共存共栄できる用意がある」というのが、習主席がアメリカに持ちかけた「太平洋は広いから」という言葉の真意であるが、逆に、もしアメリカがアジア地域に おける中国の覇権を容認してくれなければ、中国はアメリカとの対立も辞さない、というのがこのセリフに隠されているもう一つのメッセージである。習近平は 明確に、アジア太平洋地域における覇権を中国に明け渡すよう迫ったわけである。

 もちろんアメリカにしてみれ ば、それはとてもできない相談であろう。アジア太平洋地域におけるアメリカのヘゲモニーは、世界大国としてのアメリカの国際的地位の最後の砦であり、死守 しなければならない最後の一線である。近代以降の歴史において、まさにそれを守るがために、太平洋戦争、朝鮮戦争、ベトナム戦争という3つの対外戦争を戦 い、夥しい若者たちの血が流れた。そうやって確保してきたアジア覇権を、今さら中国に易々と明け渡すわけにはいかない。

  実際、オバマ政権になってからアメリカが「アジアへの回帰」を唱え始めたのも、2020年までに米海軍と空軍力の60%をアジア地域に配備する計画を立て たのも、まさに中国に対抗してこの地域におけるアメリカのヘゲモニーを守るためである。そういう意味では、アジア地域から米国を閉め出して中国の覇権を確 立しようとする習近平戦略は宿命的に、アメリカとの対立を招くこととなろう。

経済面でもアジア支配の確立を目指す

  さらに、習政権は経済面での「アメリカ追い出し作戦」に取りかかっている。2015年の春から、アメリカにとって重要な国であるイギリスを含めた57カ国 を巻き込んでアジアインフラ投資銀行(AIIB)設立の構想を一気に展開し始めた。これは明らかに、日米主導のアジア経済秩序を打ち壊して中国によるアジ アの経済支配を確立するための戦略であるが、アメリカの経済的ヘゲモニーにまで触手を伸ばすことによって、習政権は米国との対立をいっそう深めたと言え る。

 ここまで追い詰められ、流石にオバマ政権は反転攻勢に出た。そうしなければ、アジア太平洋地域における アメリカのヘゲモニーは完全に崩壊してしまうからだ。前述の日米関係の空前の強化はまさにその反転戦略の一環であろうが、日米両国による軍事協力体制の強 化とTPP経済圏の推進はすべて、「習近平戦略」に対する対抗手段の意味合いを持っている。

 そして、4月下旬の日米首脳会談を受け、日本が先頭に立って中国のAIIB構想に対する対抗の措置を次から次へと打ち出した。

  まずは5月4日、アジア開発銀行(ADB)は、アジアでのインフラ整備に民間企業が投資しやすくするための信託基金を設立したと発表した。その中で、日本 は4000万ドル(約48億円)を拠出。カナダ、オーストラリアの各政府とADBからの拠出分を足して計7400万ドル(約90億円)を集めた。

  さらに5月21日、安倍晋三首相は第21回国際交流会議「アジアの未来」の晩さん会で演説した。「質の高いインフラをアジアに広げていきたい」として ADBと連携し、アジアのインフラ整備に今後5年間で約1100億ドル(約13兆2000億円)を投じると表明した。それは明らかに、中国主導のAIIB への対抗措置であると理解すべきであろう。このように、経済面での日米同盟の対中国反撃は着々と始まっているようだ。

  それを受け、中国は今度、ロシアとのいっそうの関係強化に乗り出した。5月初旬に「主賓」としてロシアで行われた戦勝記念日の軍事パレードに参加し、プー チン大統領との親密ぶりを演じてみせる一方、地中海におけるロシア軍との合同軍事演習にも踏み切った。また、経済面においても、中露両国がそれぞれ主導す る新シルクロード経済圏構想と、「ユーラシア経済連合」の2つを連携させることで一致したという。

 おそらく習主席からすれば、日米同盟に対抗するためには、軍事と経済の両面におけるロシアとの「共闘体制」を作るしかないのだろうが、それによって、1950年代の日米VS中ソの冷戦構造が習主席の手により複製されたと言えるだろう。

日本は、迷うことはない

 その数日後、米軍は南シナ海での中国の軍事的拡張に対し、海軍の航空機と艦船を使っての具体的な対抗措置を検討し始めたことが判明した。アメリカはようやく本気になってきたようである。このままでは、南シナ海での米中軍事対立は目の前の現実となる公算である。

  こうした中で、ケリー米国務長官は今月16日から訪中し、南シナ海での盲動を中止するよう中国指導部に強く求めた。それに対し、中国の王毅外相は「中国の 決意は強固で揺らぎないものだ」ときっぱりと拒否した。中国はもはやアメリカとの対立を隠そうともしない。自らの覇権戦略を進めていくためには、アメリカ を敵に回しても構わないという強硬姿勢を示した。一方でケリー国務長官と会談した習主席は相変わらず「広い太平洋は米中両国を収容できる空間がある」との セリフを持ち出して、アメリカに対して太平洋の西側の覇権を中国に明け渡すよう再び迫った。

 そして21日、米国防総省のウォーレン報道部長は記者会見の中で、中国が岩礁埋め立てを進める南シナ海で航行の自由を確保するため、中国が人工島の「領海」と主張する12カイリ(約22キロ)内に米軍の航空機や艦船を進入させるのが「次の段階」となると明言した。

  このような攻防からも、アジア太平洋地域における経済・軍事両面においての米中覇権争いがもはや決定的なものとなった感がある。対立構造が鮮明になり、新 たな「米中冷戦」の時代がいよいよ幕を開けようとしている。今月20日、アメリカのCNNテレビが、南シナ海で人工島の建設を進める中国に対して偵察飛行 を行うアメリカ軍機に中国海軍が8回も警告を発したという生々しい映像を放映したが、それはまさに、来るべき「米中冷戦」を象徴するような場面であると言 えよう。

 ベルリンの壁の崩壊をもってかつての冷戦時代が終焉してから26年、世界は再び、新しい冷戦時代に入ろうとしている。以前の冷戦構造の一方の主役はすでに消滅した旧ソ連であったが、今やそれに取って代わって、中国がその主役を買って出たのだ。

  米中の対立構造がより鮮明になれば、日本にとってはむしろ分かりやすい状況である。戦後の日本はまさに冷戦構造の中で長い平和と繁栄を享受してきた歴史か らすれば、「新しい冷戦」の始まりは別に悪いことでもない。その中で日本は、政治・経済・軍事などの多方面において、同じ価値観を持つ同盟国のアメリカと 徹頭徹尾に連携して、アジア太平洋地域の既成秩序を守り抜けばそれで良い。ここまできたら、迷うことはもはや何もないのである。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4997

◆南沙諸島埋め立てで、中国は虎の尾を踏んだか
中国株式会社の研究(266)~安倍訪米後の米中関係

2015.5.19 宮家 邦彦 JB PRESS

 米中外交は意外に分かりやすい、というのが筆者の持論だ。

 ニューヨークで日米安保協議委員会(「2+2」閣僚会合)が開かれた4月27日から、訪中したジョン・ケリー国務長官が習近平国家主席と会談した5月17日までの3週間、米中関係は再び試練の時を迎えたのか、それとも急転直下改善に向かい始めたと見るべきなのか。

 今回は、現時点での限られた情報に基づき、米中関係の行方について考えたい。

過去1週間の報道ぶり

 いつもの通り、関連報道から始めよう。ここでは米中関係について報じられた米中関係者の主要な発言を幾つか取り上げ、これらを時系列順に取り纏めてみた。

(1)アシュトン・カーター国防長官はスプラトリー諸島で中国が埋め建て領有権を主張する人工島の12カイリ以内に艦船や偵察機などを投入することを検討するよう関係部局に指示した。

(Defense Secretary Ash Carter has asked his staff to look at options that include flying Navy surveillance aircraft over the islands and sending U.S. naval ships to within 12 nautical miles of reefs that have been built up and claimed by the Chinese in ... the Spratly Islands. 5月13日付WSJ報道)

(2)岩礁の上にいくら砂を積もうとも、領有権は強まらない。主権を築くことはできない。

(Ultimately no matter how much sand China piles on top of a submerged reef or shoal ... it is not enhancing its territorial claim. You can’t build sovereignty. 5月13日上院外交委員会公聴会、ラッセル国務次官補)

(3)我々は中国の行動のペースや性格が潜在的に地域の安全を崩壊させかねないと懸念している。中国の行動と拡大するプレゼンスは間違いなく事故や誤算がエスカレートするリスクを増大するだろう。

(We are concerned that the scope and nature of China’s actions have the potential to disrupt regional security. China’s actions and increased presence ... would certainly increase the risk of accidents or miscalculations that could escalate. 5月13日同公聴会、シア国防次官補)

(4)米国は中国による埋め立てのペースや規模を懸念している。中国に緊張緩和のため行動を取るよう求めた。

(We are concerned about the pace and scope of China’s land reclamation in the South China Sea...And, I urged China to take actions that will join with everybody in helping to reduce tensions and increase the prospect of diplomatic solutions.5月16日共同記者会見、ケリー国務長官)

(5)中国が自国の主権と領土を守る意志は岩のように固い。南沙諸島での建設は中国の主権の範囲内だ。

(The determination of the Chinese side to safeguard our own sovereignty and territorial integrity is as firm as a rock, and it is unshakable...the construction is something that falls fully within the scope of China’s sovereignty. 5月16日共同記者会見、王毅外交部長)」

(6)米国は領土問題で中立な立場を取ることを約束したはず。言動を慎むべきだ。中米関係と南シナ海の安定に利することをやってほしい。(5月16日、范長竜・中央軍事委員会副主席の発言)

(7)(米中関係は)全体的に安定している。新型大国関係は初期の成果を得ている。意見の食い違いを適切に処理し、両国関係の大局が妨害されるのを回避しなければならない。(5月17日、習国家主席)

(8)広々とした太平洋は中国と米国という2つの大国を収めるに十分な空間がある。(同)

(9)両国が同じ方向に向かい、よく意見交換と対話を通して、信頼を深め、不信を解消させ、協力を強化し、新型大国関係を構築するという正しい方向に向かって両国関係を前進させるべきだ。(同)

米中関係の現状に関する仮説

 これらの報道にはいずれも詳しい注釈が必要だろう。外交関係、特に米中関係は往々にして各種対外発表の行間を正確に読み取る必要があるからだ。ここでは上記各報道の政治的・外交的背景について簡単な注釈を加えてみた。

(1) すべては5月13日のWSJ記事に始まる。米国防省の人工島周辺12カイリへの船舶・航空機派遣の検討状況が公表されるはずはない。さればこの記事は国防 省筋の意図的リークだ。同日上院外交委の公聴会があったことも偶然ではない。米側は公式発言と情報リークで中国側にメッセージを送ったのだ。

(2)、 (3)この国務次官補と国防次官補、両名とも筆者の旧友、優秀で日本語も堪能な米外交官だ。筆者の知る限り、彼らはハッタリなど言わない。ここは、ケリー 国務長官訪中の直前、米国政府全体として、中国の人工島建設による南シナ海の現状変更は決して認めない、との強い立場を明確にしたと見るべきだ。

(4) ケリー長官が中国側に対し人工島をこれ以上拡大しないよう強く求めたことは十分想像できる。他方、現時点で米側が「人工島周辺への艦船・航空機の投入」を 強行することもないだろう。各種報道から判断して、今バラク・オバマ大統領自身がそのような決断をするとは到底思えないからだ。

(5) そのことは中国もお見通しだろうが、王毅外交部長の発言に特別な意味はない。中国の外交部長には既存の政策を実施する権限しかなく、新たに政策を変更する 権限などないからだ。ケリー長官もそのことはよく承知しているだろう。米中外相会談自体には期待していなかっただろうと推測する。

(6) この中央軍事委員会副主席の発言は中国お得意のいつもの「ハッタリ」だ。少なくとも、米側がそのような約束をしたことはないが、逆に言えば、中国側も今回 ばかりはオバマ政権の態度が意外に硬く、何らかの対中政策変更を行った可能性を懸念しているのかもしれない。その可能性はあまりなさそうだが・・・。

(7)、 (8)、(9)これら習近平の発言はいずれも中国国営メディアの報道によるものだが、実は肝心なこと、目新しいことは何一つ言っていない。これで米中関係 が好転したなどと考えるのは無理だ。他方、中国に態度変更を強いるには習主席自身に直談判する必要があることを米側は既に学んでいるはずだ。

  ケリー長官が、「人工島工事を中断しなければ、ネガティブな結果が伴う」程度の要求を習主席にぶつけた可能性は十分ある。だが、似たようなやりとりは 2013年6月のカリフォルニアでの米中首脳会談でも見られた。習主席が今回も「ゼロ回答」を繰り返せば、米中関係に暗雲が立ち込める可能性はある。

中国は虎の尾を踏んだのか

 国連海洋法条約第60条第8項は、「人工島、施設及び構築物は、島の地位を有しない。これらのものは、それ自体の領海を有せず、また、その存在は、領海、排他的経済水域又は大陸棚の境界画定に影響を及ぼすものではない」と規定している。

  残念ながら筆者は海洋法の専門家ではなく、埋め立ての詳細も承知しないので、今回中国が作った人工島が同条約上いかなる取り扱いを受けるのかはよく分から ない。中国は国連海洋法条約に基づく南シナ海に関する議論を拒否しているようだし、そもそも、米国は同条約の締結国ですらない。

  ただ、1つだけ確かなことがある。最近の南シナ海での中国の現状変更の規模とペースは明かに米国の許容限度を超えつつある可能性がある、ということだ。な ぜ中国はそんなに急ぐのか。将来の国際交渉に備え既成事実を積み重ねているとの説もあるが、元々中国には領土を交渉する気などないだろう。

 軍事的プレゼンスを高めるためとも言われる。だが、かくも孤立した中途半端な規模の埋立地が軍事的に有用だとは思えない。さすがの人民解放軍も、補給、兵站などを考えれば、この人工島を中心に米空海軍の航空機・ミサイル・艦船と対峙することまでは考えていないだろう。

  そうだとすれば、この埋め立ての最大の目的は南シナ海における中国の物理的プレゼンス拡大と政治的意志のデモンストレーションだと思われる。このことを正 確に理解したからこそ、オバマ政権はようやく重い腰を上げ始めたのだろう。9月の訪米で習近平主席がいかに回答するかが大いに注目される。

 日米ガイドライン改定からケリー訪中までの過去3週間は、中国の海洋戦略に歴史的転換を強いる可能性がある。習近平主席は自覚していなくても、今回の一件で中国が従来注意深く避けてきた米国の「虎の尾」を踏んでしまったかもしれないからだ。

 すべては9月の習近平訪米の際明らかになるだろう。

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/43828

だが米軍偵察機「P8Aポセイドン」は人工島偵察を開始した。中国海軍は南シナ海上空を飛行する米軍の偵察機に対し、20日だけで8回にわたって警告を発した。米軍は、次は支那の言う12海里の上空を飛ぶと宣告している。
◆中国に米副大統領が警告「たじろがず立ち上がる」

2015.5.23  産経ニュース

  【ワシントン=青木伸行】バイデン米副大統領は22日、中国が南シナ海で人工島を建設していることなどを列挙し、「公平で平和的な紛争の解決と航行の自由 のために、米国はたじろぐことなく立ち上がる」と述べ、中国に警告した。メリーランド州アナポリスの海軍士官学校で行われた卒業式の演説で語った。


 バイデン氏は「こうした原則が、南シナ海における中国の活動によって試されている」とし、「米国が(中国の)領有権の主張に特権を与えることはない」とも強調した。

http://www.sankei.com/world/news/150523/wor1505230015-n1.html

オバマが導く米国の弱体化

2015-05-22 15:54:57 | 資料
◆静かに確実にロシアがドル基軸体制を揺らし始めた
  「ペトロダラー」というサウジをビルトインしてきたドル基軸体制の弱体化

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マリン・カツサ著、渡辺惣樹訳『コールダー・ウォー』(草思社)宮崎正弘氏の書評
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 国際政治学上、この書物は画期的意味を持つばかりか、近年最大の問題作と言える。
 従来の地政学、宇宙時代の地政学を越えて、中国の野望である「超限戦」がとかれ、ハッカー戦争が語られた。
 いまも軍事地政学の考え方の主流は、これらの思想が基本にある。
しかし、本書は、石油経済学の視点から通貨戦争を読み解く、従来的発想の延長線上にあると雖も、これをプーチンの世界戦略にひっかけての革新的な問題提議である。
 つまりプーチンは「十五年にわたって次なる冷戦の戦い方を研究してきた(中略)。闘いの武器は軍事力ではない。世界のエネルギー供給をコントロールする力、それがプーチンの新型兵器」だという。
 なるほど意表を突く視点であり、全米でベストセラー入りしている事態も頷ける。
 表向き、中国の軍事的脅威は可視的であり、南シナ海で現実に中国は他国の領海にある岩礁を侵略している。その軍拡テンポは凄まじく、しかも傲然とアジアの覇権を言いつのり、人民元がドルに代替するなどとえらそうである。
ロシアの資源戦略上のゲーム・チェンジという現実は、たとえ数字、貿易統計上は可視的であっても、プーチンが公言することがないため、ロシアの意図する新しい戦略は判然としなかった。
と ころがプーチンの『実績』をみると、既に世界石油の15%がロシアから船積みされ、ルーブル決済の貿易相手国が増えているという事実。つまり著者が説くよ うに、「新冷戦」の最中であり、いずれペトロダラーというドル基軸体制を終焉させるばかりか、米国支配の世界システムが崩壊すると予測するのである。

「ペトロダラー」というサウジアラビアを体制内にしっかりとビルトインしてきたドル基軸体制が弱体化しつつある。
この「ペトロダラーというドル基軸体制」を発明したのはニクソンだった。
1971年にドルの金兌換体制を終わらせ、以後、ニクソンはサウジアラビアに肩入れして、こう囁いた。
「サウジを防衛し、サウジをまもるためにはどんな兵器でも売却する」うえ、サウジ王室を未来永劫、保護する。その見返りは「石油販売はすべてドル建てにすること、そしてもう一つは、貿易黒字部分で米国財務省証券を購入する」。
これが米国の「最高のメカニズムの完成であった」。
世界は「石油購入のためにはドルを貯めなくてはならなかった。世界的な需要が高まるドルを連邦準備銀行は殆どゼロコストで発行することが出来た」(79p)。
しかし時代は変わった。というより米国は自らの愚策を重ねることによって、自らを弱体化させてしまったのだ。
いまやロシアの石油埋蔵は世界一であり、ガス、レアメタル、ウランなどにも恵まれ、ガス輸出の顧客をパイプラインを敷設して次々と拡大してきた。日本のガス輸入の10%はロシアからである。
ロシア原油生産はいまでは日産1200万バーレル。「世界の石油消費量は日に8500万バーレルであり、うち5500万バーレルは国際間取引によって調達されている」。ロシアから輸出される石油は世界の取引の、じつに15%である。
他方、イラン、イラク、サウジアラビアの石油生産は世界の20%を占める。

▼中東の混乱はロシアにとって有利な状況になるカード

中東が混乱を極めることはロシアにとって有益である。制裁を受けるイランは闇で石油を処分しているが、買い手はロシアと中国である。GPsの観測を逃れてイランから積み出されるタンカーは、表向き「行く先不明」と発表されている。
サウジは増産を続行し、原油代金を劇的に下げるエンジン役をいまも実行しているが、困窮しているのは表面的にロシアに見えて、じつは米国のシェールガス開発をつぶすことにある。
だからプーチンはロシアの苦境を二年間と踏んでいるのだ。
な ぜならサウジは米国の中東政策に立腹し、とくにシリア攻撃とイスラエル政策に大きな不満を抱く他方、バーレンの危機にサウジは一国で対応したが、米国はな にもしなかった。そればかりか、チュニジア、リビア、エジプトで「アラブの春」に味方した。サウジの米国不信は確定的となった。
そしてプーチンはある時点からイスラエルへ急接近を開始した。
オバマがイスラエルを敵視し始める前のことである。
そ れは2000年にイスラエル沖合に巨大なガス田が発見され、またイスラエル国内に膨大なシェールガス埋蔵が確認された時点と合致する。ロシアはガス田開発 に協力し、イスラエルでのガス商業生産は2004年に開始された。そして送油施設に巨費を投じているが、この施設防衛にイスラエルは米国を当てにせず、か わりにロシア海軍に依拠する。

中東のパワーバランスは劇的に替わり、グレートゲームの基本律が音もなく変調し、とどのつまり、石油決済のドル機軸体制は根底が脅かされる状況になったのである。
あまつさえ米国のイラン制裁は、かえってドル基軸体制を弱体化させたと著者は分析する。
つ まりインドはイランに送金できないから現物の金で原油代金を支払い、中国は武器と消費財で支払い、ロシアとはバーター取引を実行し、じつは韓国も密かに ウォンで支払っている形跡がある。トルコは第三国経由で金塊をテヘランに届けた。まさにドル機軸が脅かされ、サウジアラビアが、そのうちドル機軸から脱出 する試みをはじめるだろう、と著者は不気味な予測をするのである。
ロシアに接近するイスラエル、サウジアラビア、そしてイラン。人民元決済を拡大する中国はこの動きに便乗し、通貨スワップ、人民元決済の拡大と世界有数の市場での人民元取引を増加させている。
 こうした現実の大変化に日本はじつにのほほんとしているようだ。

http://melma.com/backnumber_45206_6210257/
◆窮地に追いやられても 金を購入するロシアと手放さないギリシャ

2015/04/13 GOLDの風

2014年の金需給統計のデータが出そろった。公的購入と呼ばれる各国の中央銀行による金購入は477トンに上っていた。今回は、国家の危機にあっても金を購入し、保有し続けるロシアとギリシャに焦点を当ててみよう。

リーマン・ショック後の2009年から、新興国を中心に中央銀行の金購入が増えているが、2012年には544トンと過去50年間で最大の買い越しを記録していた。昨年の477トンは、これに次ぐ規模となる。

昨 年、金を一番買ったのはロシア連邦中央銀行だった。その量は173トン。実は過去10年にわたって、ロシアは金を増やしてきたことで知られる国。原油の輸 出で稼いだドルの一部で金の購入を続け、外貨準備の10%を目標にしてきた。その表明通り、ほぼ毎月、金の保有量を増やしてきた経緯がある。私はこれを 「中央銀行版の純金積立」と表現してきたほどだ。

手元のデータでは、2006年12月の時点でロシア中銀の金 保有量は394トンになっている。外貨準備に占める金の比率は2・8%。それが2014年12月には1208トン、同じく比率は12%だ。現時点で中国の 1054トン(IMF〈国際通貨基金〉への届け出ベース)を抜いて世界で6位の保有量となっている。

ロシアは ウクライナ問題の当事国で、米欧からの経済制裁に原油安が追い打ちをかけ、苦しい立場にあるのはご存じの通り。暴落した通貨ルーブルの買い支えを余儀なく され、外貨準備が昨年下半期だけで897億ドル(18%)も減っている。経済的に窮地に立たされる中で、さすがに金の購入はできず、むしろ保有している金 の売却に向かうとの噂が流れたほどだった。しかし結果は逆で、最も金を増やした国となった。一般的に、国家が窮地に追いやられた際は、保有する金には手を つけない場合が多く、それを示す事例が多数存在している。

たとえば、足元では国債のデフォルト(債務不履行) まで懸念されているのがギリシャだ。2013年末時点で112トンの保有となっている。これは、韓国の104トンを上回る。興味深いことに、ギリシャ危機 が表面化したのが2009年11月だが、過去デフォルト寸前が2度あったものの、いずれのときにも金の売却という話は一切出なかった。

も ともと金を重視するユーロ圏の一員ということも関係しているだろう。国を越えて絶対価値が認められている金は、中銀にとっても「最後のよりどころ」なの だ。2月にギリシャ国債を担保として認めるECB(欧州中央銀行)の特例が取りやめになり、なおさら金の存在がギリシャには必要となっている。

http://netmoney-web.com/2015/04/13/gold%E3%81%AE%E9%A2%A8-9/
◆中東の激変に注目が必要だ

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
平成27年(2015)5月18日(月曜日)
   通算第4543号 
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 中東地図の激変にもっと注目する必要がある
  サウジの反米、イスラエルのロシア、中国接近。そして。。。。。。。。。。
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 ボタンの掛け違えとして済まされる問題ではない。
サウジアラビアは米国への依存度を急激に減らし、ロシアと中国へ異様な接近をみせている。サウジへ中国は最新鋭ミサイルを供与した。イランを射程にできるスグレモノで、これにより旧式のミサイルを軍事パレードで公開した。

とはいえサウジアラビアは、イランを脅威としてパキスタンに核開発をさせ、いつでもイラン向けに核シェアを可能とする密約が存在するというのは専門筋の一致した見方である。
なぜならあのパキスタンの核開発費用の胴元はサウジであるからだ。

サウジアラビアはそのうえ、シリアのアサド大統領を支援しており、欧米のシリア攻撃には不満を募らせてきた。
ケリー国務長官、オバマ大統領がサウジを訪問しても嘗てのような熱狂的歓迎の風景はなくなった。
そしてついにサウジは米ドル基軸一辺倒から離脱し、一部に人民元、ルーブル決済をみとめる動きを見せている。

 イスラエルが変わった。
 オバマ大統領はイスラエル擁護という米国の伝統的外交政策を変更し、イスラエルに敵対的でさえある。
この点ではアラブ諸国の支持があるが、これによって、いまではオバマとネタにニヤフ首相とは犬猿の仲となり、同時にイスラエルはロシアとの関係の濃度を深めた。

もとより冷戦終結後、夥しいロシア移民がイスラエルになだれ込み、道路標識はヘブライ語、英語、ロシア語併記となっているくらい、じつは両国関係は深い。
 そのうえ、最近、イスラエルは海底油田が発見され、資源戦略に余裕が生まれる。

 中国とイスラエルも武器輸出で中国との間に秘密協定が存在するように、最新鋭ミサイル、戦車技術などを中国へ供与している。
 またイスラエルへの直接投資は欧米に並んで中国企業の進出が急増している。

 ▼オセロゲームのように、いやドミノ逆理論のように

 もうひとつの重要な変化はアラブの春の過熱ムードと、頓挫。ベンアリ亡命後のチュニジアではテロが不気味にうなり、リビアはカダフィ亡き後の無政府状態、エジプトはイスラム原理主義政権が誕生し大混乱のはてに軍事政権が誕生した。
 米国はシシ軍事政権を支持せざるをえず、またロシアがエジプトへ再接近を果たした。

 イラクはどうか。
 結局、イラクは米国が望んだ安定、親米政権どころか、反米シーア派が政権をおさえ、スンニ派を弾圧し、その結果が旧バース党をしてイスラム国との共闘関係をうみ、無政府状態となった。
 イラクはいずれ三分割されるだろう。
 そのイラク北方イスラム国で密輸される石油は中国へ流れている。ちなみにイランの石油は中国が最大の買い手となっている。

 こうした動きをみていて、やおら腰を上げたのはトルコだった。
 トルコはNATOの一員として欧米につくし、しかしユーロに加盟してもらえず、シリアとイスラム国の跳梁によって百万の難民が押しかけたため、基幹産業の観光が総崩れとなった。

 エルドアン大統領はトルコ全土の大学構内にモスクを建設し、世俗主義から原理主義への傾斜を濃厚とした上で、対欧米路線を転換した。
 つまりトルコは東へ姿勢を変えて、欧米に背を向け始めたのである。

 この千載一遇のチャンスをロシアが見逃すはずがあろうか。
 ロシアはすかさず対欧向けのパイプラインをトルコ経由とした。現在アゼルバイジャン、グルジアを経由するパイプラインがあるが、これに加えてトルコ経由を新設する。

 オバマは、こうした動きに無知なのか、鈍いのか、あるいはFDR時代のように彼の周りには或る戦略の下にアメリカ外交を変えようとする勢力があるかのように、西側の利益とは異なる外交を展開している。

 中東が激変しているのである。

http://melma.com/backnumber_45206_6208844/
◆米・イスラエルの関係改善は絶望的

2015.5.9 SankeiBiz 【佐藤優の地球を斬る】

 3月17日、イスラエルで国会選挙が行われ、ネタニヤフ首相が党首をつとめるリクードが30議席を獲得し、第一党になった。しかし、連立協議が難航し、ようやく今月6日夜にまとまった。

  <イスラエルからの報道によると、3月のイスラエル国会(定数120)選挙で勝利して連立協議を行っていた右派リクードのネタニヤフ首相は6日夜、極右 「ユダヤの家」と連立で合意し、すでに連立参加を決めた中道新党クラヌや宗教政党2党と合わせて61議席を確保した。近く国会承認を経て、ネタニヤフ氏に とっては4期目の連立政権が発足する。現地メディアは、連立がかろうじて過半数を確保したに過ぎないことから、ネタニヤフ氏の政権運営は不安定なものとな る可能性が高いと伝えている。

 新政権は、核開発を続けるイランへの強硬姿勢を維持する見込みで、イラン核問題での最終合意を目指すオバマ米政権とは冷え込んだ関係が続きそうだ。

  また、ネタニヤフ氏自身が選挙戦でパレスチナとの「2国家共存」を否定したとも受け取れる発言をしていることや、将来のパレスチナ国家の領土に想定される ヨルダン川西岸などの一部併合を主張するユダヤの家が連立政権に参加したことで、頓挫しているパレスチナとの和平交渉は再開がいっそう困難となった>(5 月7日「産経ニュース」)

 ネタニヤフ首相が、パレスチナ国家の存在を認めない「ユダヤの家」との連立を余儀 なくされた背景には、イスラエル・米国関係の悪化がある。米国のオバマ政権は、過激派「イスラム国」(ISIL)との戦いを最重要課題にしている。スンニ 派のISILには宗派的傾向が強く、シーア派(特にイランの国教である12イマーム派)の殲滅(せんめつ)を当面の課題としている。従って、イランにとっ て、ISILを解体することが至上課題になっている。オバマ政権は、「敵の敵は味方」という論理で、イランを味方につけようとしている。そこで、米国は従 来のイランに対する強硬策を緩めることにした。

 奇妙な核開発文書

  4月2日、スイスのローザンヌで、米英仏露中独とイランの間で、イランの核開発の枠組みに関する合意が達成された。もっとも合意文書が作成されたといって も、誰も署名していない、奇妙な文書だ。7月に本合意がなされる予定であるが、先行きは不透明だ。4月2日の枠組み合意について、イスラエルは、米国が2 年間の猶予でイランの核開発を容認したものと受け止めた。イスラエルは、イランが現在も「イスラエルを地図上から抹消する」(アフマデネジャード元イラン 大統領)という方針を堅持しているとみている。

 核問題に関する米国の譲歩を、イランはオバマ政権の弱さの印 とみている。そして、枠組合意後、イランはシリアを通じてシーア派(12イマーム派)民兵組織「ヒズボラ」への支援を強化した。このことがイスラエルの安 全保障環境の悪化につながっている。さらにイエメンでもイランはシーア派(フーシー派)を支援し、イエメンは内戦状態になっている。この状況に対しても米 国がイランに配慮して不介入の姿勢を貫いているので、サウジアラビアが有志連合を結成し、イエメン領内のフーシ派拠点を空爆するという事態に発展した。さ らにロシアが「人道」を口実にイエメン情勢にフーシー派とイランに好意的な形で介入しようとしている。

 サウ ジ情勢の不安定化によって、スンニ派原理主義勢力の動きが活発になることをイスラエルは懸念している。このような状況で、イスラエルのネタニヤフ首相は、 愛国主義で国内を徹底的に固める方針を取っている。オバマ大統領の任期中は米国とイスラエルの関係は改善しないであろう。(作家、元外務省主任分析官 佐 藤優(まさる)/SANKEI EXPRESS)

http://www.sankeibiz.jp/express/news/150509/exd1505090800002-n1.htm

◆サウジアラビア対イラン 中東の冷戦を激化させるイエメン情勢

2015年04月29日  岡崎研究所 WEDGE Infinity

フォーリン・ポリシー誌のドレーゼン編集員が、3月27日付ワシントン・ポスト紙掲載の論説にて、中東の冷戦(サウジアラビアとイランの対立)は熱い戦争になるかもしれないと述べ、その観点からイエメンなどの情勢を分析しています。

 すなわち、サウジはイエメンの親イラン勢力の空爆に乗り出した。イラクではイランとサウジがそれぞれ支援する勢力が戦っている。この歴史的な敵対関係はオバマ政権にとって新たな危機になりつつある。

 スンニーの大国サウジアラビアとシーアの大国イランは、過去何十年に亘り、武器や財政支援を通じ、静かに勢力拡大を図ってきた。しかしイエメン空爆によって対立は白日のものとなり、直接の戦闘に発展するかもしれない。

 ハディ・イエメン大統領はサウジに支持され、反大統領派のホーシー派はイランの直接支援を受けている。空爆は武器保管施設などイエメンでのイランの拠点を標的にしており、イラン人に犠牲が出るかもしれない。

 代理戦争は既に進行している。シリアのアサド大統領は、金と武器を通じてイランと近い同盟関係にあるほか、レバノンのヒズボラからは諜報や戦闘支援を受けている。他方、サウジは反アサド勢力を支援している。外部からの支援が内戦を一層悪化させている。

  イランの支援により、ヒズボラはレバノン最大の戦闘集団になり、イスラエルに対抗できる力を持つようになっているばかりでなく、強力な政党にもなってい る。他方、サウジは、レバノン国軍を支援すべく、昨年、30億ドルの無償援助をする旨発表した。バーレーンでは、イランが少数シーア派を通じて王政打倒を 狙っている。

 サウジ指導部は、イラクやイエメンを見て、イランに対して劣勢になっていることを懸念してい る。サウジは、オバマの対イラン核交渉は歴史的な間違いだとして、懸念を持っており、イランの核に対抗するため、自らの核保有を仄めかしている。サウジ は、幅広いスンニー派アラブ有志連合(エジプトやヨルダンなど)を結成し、対イエメン作戦を行っている。作戦は長期化するかもしれない。

  サウジとイランが一致するのは、イエメンにいるアラビア半島アルカイダ(AQAP)撲滅の点だけだ。AQAPはサウジの他ホーシー派も攻撃している。 AQAPは、2009年にナイエフ現内相を狙った爆破未遂事件を起こしており、サウジアラビアの指導部にとっては個人的な敵でもある、と述べています。

出典:Yochi Dreazen,‘In Yemen, the Middle East’s cold war could get hot’(Washington Post, March 27, 2015)
http://www.washingtonpost.com/opinions/in-yemen-the-middle-easts-cold-war-could-get-hot/2015/03/27/e4acccf4-d488-11e4-8fce-3941fc548f1c_story.html

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 ドレーゼンの分析は、的をついた妥当なものです。サウジとイランの対立は、地域覇権をめぐる対立に、スンニー派対シーア派の宗派間対立の側面が加わり、さらに、この対立は中東全体に広がっています。今後の中東は、この対立を抜きにしては理解できません。

  中東のこれまでの対立軸は、アラブ対イスラエルでしたが、今やサウジ対イラン(アラブ対ペルシャ)、スンニー対シーア、場合によっては王制国家対イスラム 教国家の対立軸になっていると言えます。その中で、反イランという点ではサウジとイスラエルの利益が合致するという奇妙なことになっており、両国は密かに 協力もしていると言われます。

 サウジにとって、国境の北にあるイラクではシーア派が地歩を固めイランとの関 係が強固になり、国境の南にあるイエメンではイランの支援を受けるホーシー派が勢力を伸張しています。イエメンが破綻国家になれば、容易に「もうひとつの シリア」になります。サウジが強い危機感を持っていることは容易に理解できます。サウジとしては、米国の支持を確保しつつ、エジプトとの連携を柱に、当 面、アラブ有志連合で対応していくものと思われますが、前途は予断を許しません。

 オバマ政権にとって、イエ メン情勢は面倒な課題になりつつあります。米国の対中東外交の柱であるサウジは、2013年秋に米国が対シリア武力行使をやめたことに強く反発し、目下、 米国がイランと、核交渉の他、シリア情勢、イラク情勢について水面下で意思疎通、協力を図っているのではないかとの猜疑心を持っています。これまでのオバ マの優柔不断、どっちつかずの姿勢が影響しています。

 2011年のアラブの春以後、中東は益々渾沌としてき ています。その教訓は、人道危機の場合を除いて、外部勢力の介入を許さないようにすることでしょう。国内の民主化はその国の市民が本気にならなければ達成 できません。国際社会は、今一度、主権国家の価値を再認識すべきではないでしょうか。外部からのレジーム・チェンジは成功せず、それは国家を破綻させ内乱 を招くだけになり易く、結果的に人道コストもより高くなり得ます。中東では、主権国家を維持しながら民主化や経済発展(特に雇用の確保)を図っていくこと が一層重要であるように思われます。

http://wedge.ismedia.jp/articles/-/4924

イエメンで起こった、テロ事件の犯人達は、 オバマ大統領が意図的に見逃し、「泳がせていた」テロリスト達である。
◆米国の圧力に反しロシアの信頼を取り戻そうと試みる欧州

2015年04月27日 Sputnik 日本

「ド イツ政府は、ロシアとEUの今後の協力を築いてゆく役割を果たす用意がある。欧州のエリート達は、米政府により押し付けられたロシア孤政策の展望のなさを 自覚しつつある。」これは、ギリシャの欧州外交政策基金のエキスパートで、ニースにある欧州研究所の講師を務めるゲオルグ・ツォゴプロス氏が述べたもの だ。
以下、彼の意見を皆さんにご紹介したい。

「EUの対ロシア政策は、ワシントンが相変わらずウクライナ紛争にロシアが介入していると非難を続けるのをよしとしているに対して、以前に比べソフトになっており、経済協力の方向に動いている。
EUの立場とその経済発展の牽引車であるドイツの立場は、極めて明確である。つまりEUは、ウクライナ経済の再生を優先的対外政策の一つとみなしている。その実現化を来年1月に予定している自由経済ゾーンに関する合意は、EUの立場をよく物語っている。

そ の際、EUは、制裁という条件の中でも、ロシアとの経済的協同行動の形態を模索し続けている。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が示した「リスボンか らウラジオストークまでの自由貿易ゾーン」という考え方は、よく知られており、ドイツの現指導部、特にメルケル首相やガブリエル経済相は、その中に未来を 見ている。メルケル首相は、シュトラルズントでの経済フォーラムで発言し、ロシアを欧州との貿易の軌道に戻すというテーマを示した。又メルケル首相は、ウ クライナやモルドワと自由貿易ゾーンを創設するというEUのプランをコメントし、そうしたプロジェクトはロシア政府に敵対するものではなく「ロシアのため の場所もある、より大規模なモデルだ」と外交的配慮を含め指摘した。

EUは、ロシア政府の信頼を取り戻し、ロシアを義務と利益のある有望な政治ゲームへ引き入れようと、一歩一歩試みている。

ド イツ政府は、そうした協力の構築者として行動する可能性がある。ドイツ財界のリーダー達は、米国の側からの圧力に反し、ドイツの政治エリート達をプッシュ している。なぜならロシア隔離策は、妥当なものではなく自分達の利益に反するからだ。又ドイツは、欧州で強く批判されている緊縮財政政策の提案者であり、 ぐらついた国の評判を回復させるためには、大きな外交的成功が必要となるだろう。

もしウクライナ危機が、ミンスク合意の助けを借りて成功裏に解決されれば、EUは、ロシア政府に対し、積極的な協力を提案する用意ができるに違いない。欧州の戦略の向こう側には、ドイツの確固たる利益があり、その戦略は、将来性があり生命力を持つものだと思われる。」

http://jp.sputniknews.com/opinion/20150427/253517.html#ixzz3YZAsEDsX

◆米国保守派の本音?「やはり中国をやっつけるしかない」

日経ビジネス 堀田 佳男 2015年5月13日

 米国の有名シンクタンクが4月、「米保守派の本音」と呼べるほど強硬な対中政策に関する報告書を発表した。

 まず核心と言える部分を抜粋するので、お読みいただきたい。「中国はアジア地域で米国の力を試そうとしている。米国は、そうした抵抗勢力と戦わなくてはいけない。そして彼らを打ち負かすための戦略を練り上げなくてはいけない」。

  打ち負かす(defeat)を口語訳すれば「やっつける」となる。このような表現が全70ページの中で7回も使われている。米国と同盟関係にある日本に対 して使うことはない。つまり、中国と既存の協調路線を模索する一方で、最終的には「やっつけるしかない」という考え方を表している。

 この報告書のタイトルは『中国に対する国家戦略の変更』。発表したのは外交問題評議会(CFR)というシンクタンクだ。CFRは1921年にニューヨークに設立された非営利団体で、主に米国の外交政策について提言している。

  CFRは世界的に広く読まれている隔月雑誌『フォーリン・アフェアーズ』の発行元としても知られる。旧ソ連の封じ込めを説いたジョージ・F・ケナン氏の 「X論文」や、サミュエル・P・ハンチントン氏の「文明の衝突」など、米国の外交政策に大きな影響を与えた論文を掲載してきた実績を持つ。

対中強硬+反オバマの考えと

 今回の報告書は中国を刺激する内容で、「あおっている」と呼んでも差し支えない。同評議会の代表であるリチャード・ハース氏は「中国との協調というこれまでの路線は、これから、『戦略的で過激な競争相手』と対峙する路線に置き換えられていくだろう」と述べている。

 同氏は同時に、「すべての人が報告書の内容に賛同するわけではないことは分っている」とも発言している。つまり、米国の中でも対中強硬派の考えとしてこの報告書を理解すべきということだ。

  CFRは特定の政党に肩入れしているわけではないが、思想的には共和党保守に近いと見なして差しつかえない。このため報告書では、バラク・オバマ政権への 批判も述べている。例えばこんな下りがある。「オバマ政権は中国の安全保障戦略を十分に理解していないようだ。確実に米国の利害と力を削ごうとしている。 大統領は現実をそしゃくできていないのではないか」。

 さまざまな政治的立場がある米国で、中国をやっつけるべきという政治信条を持ち、オバマ政権を批判する一派がいるということである。

  冒頭の段落に次の内容がある。「米国は歴史上、ライバル国との競争に勝つために国家戦略を追求してきた。最初は北米大陸を掌握するため。次に西半球、最終 的には世界を牛耳るためだった。(中略)米国にとって中国の経済的、軍事的拡大は間違いなく国家的な危機であり、それを阻止するためには現在の対中政策を 変更しなくてはいけない」。

 近年、経済力と軍事力をつけてきた中国に対し、真っ向勝負を挑まなくてはいけないと提唱する。オバマ政権の対中協調路線は「手ぬるい」というのだ。

米国の東部エスタブリッシュメントが賛同

  ジャーナリストで歴史家のエリック・ジュッセ氏は同報告書をこう評している。「この報告書は、米国の特権階級が中国に対して宣戦布告したようなものです。 しかも報告書の基本的な内容は、中国がアジアで覇権を獲得しつつあることを表したものです」。中国への宣戦布告という表現は過激である。もちろん軍事的に 交戦することを米政府に勧めているわけではない。

 米国はこれまで中国に対して、国際ルールを順守する「責任あるステークホールダー(利害関係者)」になることを期待してきたと言われてきた。だが、この報告書は米国の思い通りに動かない中国にいら立ち、協調は限界点に近づいたと捉えている。

  さらにジュッセ氏によると、ウォールストリートの金融関係者を中心とする財界人の多くがこの報告書の主旨に賛同しているという。いわゆる米東部エスタブ リッシュメントと呼ばれる知識層が、中国を脅威として認識し、米国は対中強硬策に出るべきと考えているわけだ。報告書の冒頭の文章から、米国は「最終的に は世界を牛耳る」ということが、特定の人たちの間で暗黙のうちに了解されていることが分かる。

「日本ほど重要な国はない」

 報告書はまた、アジアの安全保障問題も論じている。「日本ほど重要な国はない」「米国は日本という重要な同盟パートナーを引き続き支援すべきだ」と述べている。日米両国が防衛協力を強化して、地域の安定に努めることが重要という現実的な指摘をする。以下が論旨だ。

 「アジア地域全体を対象として、日本との安全保障関係を実質的に強化すべき」
 「日本の自衛隊のさらなる増強を支援していく」
 「防衛省との密接な対話を通して、エア・シーバトル(空海戦闘)における自衛隊の役割、目的、能力を確認、向上させていくべきだ」

 日本にとって重要な案件である尖閣諸島での有事にも触れている。「日米安全保障条約の下、日本は米国のアンブレラ(傘)の下で十分に守られている事実を日本側にこれまで以上に発信していく」。

 また報告書は、日米の2国間関係の絆がどれほど強いのか、日米同盟が有事の際に本当に力を発揮するかどうかを中国が探っていると書く。報告書は、日本が米国の軍事力に依存するのと同様に、実は米国も日本の経済的、軍事的なサポートを極めて重視していると説く。

 「米国は同盟国や友好国の持続的な支援なしに、アジアで国益を守ることはできない。そのため中国は、米国が維持する2国間関係を崩そうしてきている」。報告書は、これに対抗するため日米両国の関係を強化しなくてはならないと結んでいる。

 前出のジュッセ氏は米保守派の心中を見透かしたように述べる。「米国は旧ソ連との冷戦に勝ったことで、帝国主義的な優位性を誇っています。それは米社会の特権階級が勝った勢いに乗って今でも社会を仕切っているということなのです」。

 この報告書が提示する視点に則って世界を眺めると、中国は邪魔者であり異物でしかないのかもしれない。だが共和党保守派が報告書にある通りに世界を動かせるわけではないし、オバマ政権の後に共和党政権が誕生するかどうも分からない。

 この報告書は、あくまでCFRというシンクタンクのものである点を最後に記しておく。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20150511/280943/?P=2&rt=nocnt
オバマ政権の対中姿勢は

第1には、中国が台湾や日本に軍事攻撃を行っても、米国が中国と正面から戦争をするほどの価値はない、という認識である。

 第2には、中国の指導部自身が経済成長の維持のために、米国との戦争になりうるような軍事力行使は台湾や日本に対してもしないだろう、という認識なのだ。

 確かにオバマ政権は尖閣諸島をめぐる日本と中国の対立でも、中国の非平和的な領海侵入、領空侵入を決して非難していない。ただただ日本と中国を同列に並べて、両国に同じ語調や姿勢で自制を求めるだけである。

オバマというより米民主党を信用すべきでない。昔からずっと反日の党だった。だからといって共和党が親日かというと必ずしもそうではないが。

オバマ大統領の弟が、中国人女性と結婚し、現在は広東省深圳で焼き肉店を十数店経営している。また、妹はカナダ在住の中国人と結婚している。

そして、国務長官ケリー氏の家族は、中国人女児を養女にしている。そしてなによりも、ケリーの一族で世界の富豪を毎年紹介する「Forbes」は、支那共産党が民間企業に偽装する中堅企業群のコンサルタントを請け負う、言わば大顧客と言うから始末に負えない。

中 狂が崩壊すると米国も連鎖するのかな。それより地域紛争に持ち込んで敵国になって、米国債凍結してチャラにしたほうが良いと思うのだが。一兆数千億ドルが 浮くんだから米国も一気に経済が息を吹き返すだろう。米国債が紙くずになれば中狂は間違いなく破綻して内乱になる。武器が売れるし国も分裂する。

更に、チベットやウイグル、内モンゴルの国を復帰させれば強力な友好国になるんじゃないか。

ひょっとして、南朝鮮には軍隊と呼べるものが無いのでは?

2015-05-17 22:42:24 | 資料
「パイロット資格」乱発する韓国軍の恐ろしき“訓練偽装”…セウォル号事故後も相次ぐ不祥事・隠蔽発覚

2014.6.5  産経WEST

  客船「セウォル号」沈没事故での救出活動をめぐり、政府や海洋警察とともに大きな批判を浴びた韓国軍だが、客船事故後もトラブルや不祥事が相次ぎ、国民を あきれさせている。戦闘機はミサイルを落とし、20億円の自慢の無人偵察機は墜落。空軍基地の滑走路も手抜き工事で使用停止に。さらに、飛行時間が足りな くても「機長」の資格を与える訓練擬装が過去何年にもわたって常態化していたことも発覚。大事故の反省を生かすどころか、不正は底なしの様相を見せてい る。

(岡田敏彦)

ミサイルが落下、そして発射され

  聯合ニュース(電子版)などによると、セウォル号事故の2週間後の4月29日に忠北清原にある空軍基地の滑走路で、離陸しようとしていたF-4ファントム 戦闘機に搭載されていたミサイル1発が機体から外れて滑走路上に落下した。これだけでも大問題だが、「ミサイルは機体から外れた衝撃で一部破損した」とす る軍の発表が虚偽だったことが分かり、再び軍批判が沸騰する事態となった。

 実はミサイルの推進装置(ロケットモーター)の部分が、滑走路から約2・3キロ先の地点まで飛んでいたことが明らかになった。つまり、ミサイルはただ落ちたのではなく、その後「発射」されていたのだ。

 軍では当初「転がった」などと説明していたが、2キロも転がるミサイルがあるわけもなく、韓国マスコミは「誤射じゃないのか」と追及。その結果、軍はようやく「パイロットがミサイルを発射しようとしたわけではなく、発射の電気回線がショートした」と公表した。

 またも整備不良が原因の事故だったわけで、空軍の対応については朝鮮日報などが「意図的に事態を縮小・隠蔽(いんぺい)しようとしたのではないか」と報じている。

無人偵察機は墜落

  さらにこの事故の翌日の5月1日には200億ウォン(約20億円)かけて開発した陸軍の無人偵察機「ソンゴルメ(隼)」が京畿道楊州市近郊の山に墜落する 事故が起きた。中央日報(電子版)などによると、ソンゴルメは全長約4・8メートル、全幅約6・4メートル。時速150キロで5時間近く滞空でき、光学セ ンサーで数キロ離れた場所を偵察できる性能があるが、制御を失い墜落したとされる。

 さらに今回の事故をきっかけに、韓国空軍ではこれまでに操縦ミスで偵察機が10機以上墜落していたことも明るみに出た。日本円で200億円以上の損失という。

 セウォル号沈没事故で政府や軍の信用が失墜し、反省が求められている時期だが、さらに信じられないようなトラブルは続く。

 5月16日に韓国MBCテレビなどが報じたところによると、慶北醴泉の空軍基地「醴泉飛行場」で20億ウォン(約2億円)かけて滑走路などの改良工事が実施されたが、完了後にさまざまな欠陥が露呈しているという。

  滑走路の約500メートルにわたる区間で、舗装の浮きやひび割れが発生したほか、滑走路につながる航空機移動用の誘導路でも同様の被害が露呈。滑走路はす でに運用していたが、戦闘機のタイヤがパンクして重大事故につながる恐れがあるため、結局、12日から使用を全面中止した。

 戦闘機のパイロットを養成する教育部隊も練習機の飛行停止を余儀なくされ、生徒たちは地上で座学の授業を受けているという。

  朝鮮日報(電子版)によると、国防部の関係者は「冬場に凍った地面が春になって緩み、工事区間に亀裂が生じた可能性がある」と指摘。凍って固くなっただけ の軟弱地を地盤改良せず、表面だけを舗装工事していた疑いがある。国防部は業者の手抜き工事の可能性があるとみて調査している。

マニュアル・規則が守れず

 ちなみに韓国世論は怒りやあきれを通り越し、もう諦めたかのような反応で、ネット上には「セウォル号事故では、(海面に)落ちなけれなならない救命ボートが落ちなかったのに、軍では落ちてはいけないものばかり落ちる」と、皮肉るような書き込みも見られた。

  韓国内ではセウォル号沈没事故で「韓国のレベルは落第点、三流国家のものだった」(中央日報)、「最初から最後まで間違えた」(現地誌ハンギョレ電子版) など自虐報道が相次ぎ、「すべての部門で各自が『いい加減な』慣行から抜け出すために気をしっかりと持たなければならない」(中央日報)など反省や戒めの 声も盛んに聞かれた。が、そうしている間にも軍ではトラブルが相次いでいたことになる。

 これまでも欠陥工事 でマンホールが陥没して戦闘機が主脚を落としたり、整備ミスで旧式戦闘機が次々墜落したりとトラブルは絶えなかったが、技術的な未熟さを別にすれば、これ らは練度(訓練)が足りないことから起きたミスがほとんどだ。しっかりマニュアルを読み、規則を守れば起きなかった事故は多い。

 だが、練度不足よりも恐ろしい事実が明らかになった。

  空軍の練度を推し量る一つの指標であるパイロットの総飛行時間は、年間約130~140時間。約200時間の米軍や英国、180時間の日本(いずれも諸説 あり)と比べると少ないが、北朝鮮(20時間)や中国(30時間)とはケタ違い。この数字を見ればしっかり訓練しているように見えるのだが、実はこの数字 が全く信用できないことを韓国KBSテレビが報じた。韓国空軍は過去12年にわたって、虚偽の飛行時間を記した証明書を発行してきたというのだ。

偽装の常態化

  韓国空軍では飛行訓練を終えた後、コンピューターに飛行時間などのデータを打ち込んで管理しているが、今回発覚したのは“水増し”などといった生やさしい ものではない。機長や副操縦士、航法士、教官、学生などを区分しないまま、すべて「機長」として証明書を発行していたのだ。これは直接操縦せず、横に座っ ていただけの乗組員にも離着陸回数や操縦回数が実績として与えられることを意味する。操縦していなくても、操縦した経歴が与えられるのだ。

 訓練擬装が行われる背景として指摘されたのが、除隊後の就職活動だ。軍を離れて民間で再就職するとき、パイロットの肩書があれば有利。飛行時間が多ければ民間航空会社への就職も可能だ。そうした事情から偽装が常態化しているという。

  韓国KBSテレビによると、航法士(ナビゲーター)として輸送機に乗っていた人物が、機長として2600時間を飛行したとの軍の証明書をもらい、機長の資 格を持って東南アジアの航空会社に就職したという。民間旅客機のパイロットに再就職した人物が、実は機長の操縦を横で見ていただけだった-という空恐ろし い事態が起きているのだ。

 とはいえこの擬装、空軍の軍人にとっては秘密の利権のようなものだという。特権に執着する、そんな軍の慣行をどう考えればいいのだろう。

 訓練していなくても訓練したことになる隊員。それと同じく、整備していなくても整備したことになるという悪しき慣行が、連続する事故の原因ともいえる。韓国では海洋警察の解体が決まったが、軍も一度解体して出直した方がいいのかもしれない。

http://www.sankei.com/smp/west/news/140605/wst1406050076-s.html
◆韓国空軍“天下り会社”が26億円詐取の驚愕手口…金だけもらい戦闘機“エア修理”、人脈駆使し不正もみ消し

2015.5.10  産経WEST

  海軍救難艦に軍用ソナーと称して魚群探知機を積むなど不祥事続きの韓国軍をめぐり、また新たな不正が明らかになった。今度の舞台は空軍。主力戦闘機 KF-16の整備を行う民間会社が、戦闘機の部品を新品に交換したと偽って実は何もせず、過去5年間に軍から約26億円を詐取していたことが判明したの だ。この会社は空軍OBが経営、天下りの元空軍幹部らで固め、人脈や知識を駆使して軍当局をだまし金を引き出していた。貧富の差が加速している韓国では今 年から実質増税で庶民の暮らしが一段と圧迫されており、そんな中、ただでさえ厚遇の元軍幹部らが不正蓄財をしていたとあって国民は怒りを爆発させている。 (岡田敏彦)

“共食い修理”よりひどい“エア修理”

 戦 闘機を含む航空機の部品は、壊れる前に整備・交換するのが基本。そのため飛行時間や一定期間ごとに分解整備や部品交換を行うよう細かく規定されている。し かし韓国空軍ではこうした規定を軽視して壊れるまで使ったり、新しい部品が手当てできずに他の故障機から部品を取ってくる「共食い修理」が常態化してい る。昨年10月に国会国防委のグォンウンフィ議員が明らかにしたところでは、過去4年間で主力戦闘機の共食い修理は1182回にも上った。

 ところが今回明らかになった不正はそれよりひどい。修理したふりをして実は何もしていないという、信じがたい行為が続いていたのだ。

 現地紙の東亜日報や中央日報(電子版)などが報じたところによると、不正を行っていたのは戦闘機整備会社「ブルニア」。手口はこうだ。

修理せず金だけ受け取る

 米国製の主力戦闘機KF-16の部品修理の場合を例にとると、まずは「正規の部品を輸入した」という証明になる、輸出入届け出済み証書を偽造。その後、機体の整備・修理作業に入るが、実際は整備せず、架空整備がばれないようにさまざまな細工を行う。

 例えば、「確かに部品を交換した」と軍当局に報告するため、使い古したように見える偽の部品をあらかじめ用意して提出。当局に偽物とばれないように、あとで軍の倉庫から提出した部品を盗み出すことまでしていた。

 旧式機のF-4の場合はもっと単純で、交換部品を関連会社から購入したとの契約書を偽造するなどし、軍から金だけを受け取っていたという。

  政府合同調査団が2月16日に発表した最終捜査結果などによると、同社は少なくとも2006年から11年までの5年間に32件、計457億ウォン(約49 億円)規模の契約を結びながら、こうした架空請求でうち約243億ウォン(約26億円)分は部品を交換せず代金だけを受け取っていたとしている。

 航空機の整備不良や故障は墜落という大惨事につながりかねない。しかも国民の安全を担う軍を相手に架空請求詐欺を働いた行為は許されるものではないが、さらに国民を激怒させたのは同社の経営者が元軍人で、社員も軍からの天下りが多かったことだ。

軍OBの巣窟

  ブルニア社は空軍の整備兵だった元下士官(54)が設立し、社長を務める。その後、空軍の参謀次長も務めた大物のチョン・ギグァン予備役中将(67)を副 会長として招へい。さらに空軍整備倉倉長(67)や空軍本部装備整備情報体系開発団の職員(55)を事業本部長や事業開発チーム長として雇用。天下り先を 自分たちで作り、空軍の幹部や専門職を集め、元軍人の立場と人脈を使ってまさにやりたい放題だった。

 朝鮮日 報(電子版)など現地メディアによると、“使い古し部品”が偽物だとばれた際は、チョン・ギグァン予備役中将が「元高官」の大物の威光で空軍内の後輩に依 頼し、不正をもみ消していたという。また社長が、偽造部品の検査担当となった空軍の検査官に5000万ウォン(約540万円)を渡して虚偽書類を見逃して もらっていたことも調査団の調べで明らかになった。

 結局、チョン・ギグァン予備役中将や社長ら6人が特定経済犯罪加重処罰法(詐欺)で逮捕、起訴された。

ただでさえ厚遇の軍幹部

  軍全体で見れば、こうした修理にまつわる不正はOBだけではなく、現役兵にも広がっている。例えば昨年4月には、修理や廃棄のため鉄道輸送するべく集めら れていた車両から4年間にわたり約8千リットルの燃料(軽油)を手動ポンプで抜き取り盗んでいたとして、海軍所属の副士官2人が地元の江陵(カンヌン)警 察に摘発されている。

 とはいえ、下級兵士と高官では世間の見る目は違う。聯合ニュース(電子版)によると、 韓国軍の大将の年俸は二等兵(135万ウォン=約14万6千円)の95倍の1億2843万ウォン(約1387万円)。しかも20年以上服務すれば、軍人年 金(本人負担率16・5%、残りは国が補填)が受け取れるという。

 こんな厚遇なのに、さらに不正で利益をむさぼるとあっては国民が激怒するのも当然だ。怒りの背景には、庶民を直撃した実質増税や貧富の差拡大という韓国内の事情もある。

国民を直撃した年末調整問題

 韓国で昨年から今年にかけ、国会でも取り上げられ大問題になっているのが「年末調整問題」だ。昨年、韓国では控除の方式や範囲を変える税制改革を実施したが、この変更が多くの国民にとって実質的な増税となることを政府は説明していなかった。

 その結果、前年より還付額が減ったり、追加納付が必要になるケースが多発。前年までなら2月分の給料に還付金がプラスされて臨時のお小遣いとなっていた人も、今年は追加納付分を2月分の給料から天引きされることとなった。

 さらに庶民の財布を直撃したのがタバコの値上げ。韓国は成人男性の喫煙率が42・1%(14年)で経済協力開発機構(OECD)加盟国では2番目に高い喫煙大国。ところが今年1月1日からタバコは大幅に値上げされた。

 国産タバコは一律2千ウォン(約220円)の値上げで、1箱2500ウォン(約270円)の商品は4500ウォン(約490円)とほぼ2倍の価格に。その結果、タバコ屋では70年代以来の「バラ売り」が行われている。

  タバコ屋が箱の封を開け1本ずつ販売。しかも店側がバラ売り特別料金を設定。1箱20本入りで4500ウォンだから単純計算で1本は225ウォン(約24 円)だが、中央日報(電子版)などによると店側は1本300ウォン(約32円)でバラ売りし、差額の行方は報道されていない。

 庶民がタバコを箱で買うことすら躊躇し、1本ずつ購入するという経済状態にありながら軍の幹部が不正蓄財しているのだから、怒りは2倍、3倍にもなる。

 ちなみに英国のシンクタンク国際戦略研究所(IISS)によると、韓国の昨年の国防予算支出額は344億ドル(約4兆590億円)で世界10位だった。(3月4日掲載)

http://www.sankei.com/west/news/150510/wst1505100015-n1.html
◆韓国の「無人偵察機」事故で使い物にならず、それで「北の警戒万全」とは…情報収集低下させた“場当たり主義”

2015.5.13  産経WEST

  韓国海軍が情報収集艦で運用する2種(航空機型とヘリ型)の無人偵察機が、実際は事故やGPS機能の不備などで運用できない状態にあることが判明した。対 北朝鮮警戒を目的に配備されたが、航空機型に関しては全機が運用できないまま5年も放置していた。また空軍の早期警戒機「ピースアイ」も米メーカーが製造 ラインを閉じたため交換部品が調達できない事態に。情報収集で海と空の“目”を失いかねない危機的状況だが、その背景には、いつもの“場当たり主義”が指 摘されている。(岡田敏彦)

無人機が墜落

 韓国ネイバーニュースなど現地メディアは4月中旬、海軍の情報収集艦が5年にわたって無人機(UAV)の運用を怠っていたとして「目を閉じたまま 性能発揮できず」などと報じた。

 韓国海軍は「新紀元」と「新世紀」の2隻の情報収集艦を運用。情報収集には軍と国家情報院(旧KCIA)が関わっているとされる。

  このうち新世紀艦には北朝鮮軍の情報を収集するため、2003年から米国AII社の無人偵察機RQ-7「シャドー400」を3機配備。全長約3・5メート ル、幅約4メートルと小型で、滞空時間は約7時間。韓国陸軍も使用していたため、海軍への導入に問題はないと判断された。

  韓国の月刊誌「月刊朝鮮」などによると、海軍の無人偵察機は、02年6月に北朝鮮との間で哨戒艇同士の小規模な砲撃戦が発生した延坪島近海など、軍事境界 線(北方限界線=NLL)に近い西海5島近辺を警戒するため導入され、北朝鮮の港や大口径砲、ミサイル基地などを映像で監視しているとされた。

 ところが07年と10年に操縦装置やエンジンの故障で相次いで2機が墜落。残る1機も不調で飛ばせず、10年以降はUAVを運用していなかったことが明らかに。3機とシステム一式で計260億ウォン(約28億3千万円)がスクラップになっていたのだ。

  この理由について、月刊朝鮮は「無人偵察機は艦上の射出機から発射し、海上に墜落後は網で回収するため、艦上運用では制限が多い」と指摘する。つまり、2 本の棒の間に渡した網の中に機体を押し込んで回収するため、揺れる海上での運用が難しいというわけだ。しかし、そうしたことは当然予測できたことで、なぜ 陸軍装備を安易に海軍へ導入したのかという点はメディアの間で非難の的となった。

 また、こうした装備は事故での喪失をある程度見越し多めに導入しておくことも各国の常識だが、韓国ではわずか3機のみの導入で、補充もなかった。

遊覧観光船との批判

  無人機が運用できない事態を放置したまま、「対北朝鮮の警戒は万全」との姿勢をとってきた軍には非難が集中。また、新世紀艦は広いプラットホーム(甲板) を設けるなどUAV運用を重視した艦だが、5年もUAV抜きで航海していたことから、「遊覧でもしていたのか」「燃料費の税金は…」といった批判も出てい る。

航法に商用GPS

 一方、新紀元艦も致命的な欠陥を 露呈した。同艦はシャドー400のような航空機型ではなく、ヘリコプター型のUAV「S-100」(オーストリア・シーベル社製)を4機導入。全長3メー トルとコンパクトで滞空時間は6時間。東亜日報(電子版)は「UAE(アラブ首長国連邦)も130機を導入した」とその性能と実績を紹介したが、13年 10月に問題が発覚した。

 聯合ニュース(電子版)や世界日報などによると、同機は「GPS電波妨害に脆弱 (ぜいじゃく)であることが分かった」というのだ。国会国防委所属のソン・ヨングン議員が海軍の資料を基にこの問題を取り上げ、「航法装置が商用GPSで あるため、電波妨害などの電子戦に無防備だ」と指摘したという。

 どうやら原因の根本は「米国の同盟国で韓国だけが米軍の軍用GPSの利用を認められていない」(朝鮮日報電子版)点にあるようだ。

 同紙などによると、韓国では最新の戦闘爆撃機F15K、主力戦闘機F16Kなど空軍はもちろん、次期主力戦車のK2や地上戦術情報システム、さらに潜水艦やイージス艦までが商用GPSの運用能力しか付与されていない。

 韓国軍は「米軍用GPSの導入には時間や予算が余計にかかる」と釈明するが、現実は米軍からGPSの電波のうち軍用モードの使用暗号の提供を断られている状態だ。先の「シャドー400」の墜落も、このGPS問題が原因と見る向きもある。

衛星を売り飛ばす

 商用GPSでは受信障害などが度々発生してきたが、軍用コードであるL5は周波数幅も広く、出力も高いため、商用コードより脆弱性は低いとされる。

 韓国がそうした高性能の米軍GPSの軍用コードを教えてもらえないのは、戦闘機のブラックボックスを勝手に分解したり、武器を分解して偽造品を作ったりし、米国から軍事機密情報漏洩(ろうえい)を危ぐされているためだが、決定的な出来事は10年の衛星売却だ。

  中央日報(電子版)によると、韓国初の通信商用衛星と自賛してきた「ムグンファ衛星」の2号と3号を、運営会社のKTが中国・香港の企業に売却した。とこ ろが、この衛星の製造元は戦闘機製造など米国航空宇宙分野の雄、ロッキード・マーチン社。米国の宇宙科学技術の粋が詰まった衛星とその運用情報を簡単に中 国へ売り飛ばすのだから、米軍の機密など教えてもらえるわけがないのだ。

そして“空の目”も

 こうした行為がたたり、韓国空軍自慢の早期警戒機、ボーイング737 AEW&C「ピースアイ」にも鉄クズ化の危機が迫っている。

  空飛ぶレーダーサイトともいわれ、いつ北朝鮮の攻撃を受けるかわからない韓国にとっては生命線ともいえる兵器。だが、不具合と予備部品の欠如で共食い整備 を繰り返した結果、全4機中3機が飛行不能状態にあると現地メディアが報じたことは以前紹介したが、さらに問題が発生した。

  韓国聯合ニュースやNEWSISなどによると、ピースアイの整備に必要な重要な保守部品のうち64種類が生産中止になったというのだ。導入されてわずか4 年。日本では家電製品ですら冷蔵庫で9年、テレビやデジカメで8年などと、製造終了後の部品保有期間が定められている。それに対し韓国空軍と米国の“商 売”では、製造終了後どころか「買って4年」で打ち切りとは…。

 現地メディアによると、製造終了は韓国国防研究院が発刊した「国防予算分析・評価および中期政策方向」で発表された。製造中止となった部品には探索レーダーシステムなどを構成する重要部品も含まれていた。

値切ってナンボ

 こうした事態を招いたのも韓国側の“事情”にある。納入時、韓国側はボーイング側の提示額17~19億ドルに対し、16億ドルを主張し、結果的にその額に値下げさせたが、その代わり必要なスペアパーツを省かれたというのだ。

 プリンターで例えれば、メーカー提示額では5年分のインクがついてくるのに対し、値切ったため1回分のインクしか付いていないようなもの。兵器は運用と保守にこそ予算が必要なのだが…。

 さらに機数の少なさも追い打ちをかけた。ピースアイを運用するのは韓国とトルコ、オーストラリアの3カ国で、その数は計14機。部品生産ラインをいつまでも保持しておける機数ではない。他国のように最初に買っておけば…というのは後の祭りだ。

 韓国メディアが一斉に「日本の早期警戒機より性能がいい」とたたえた名機も、韓国型運用で鉄くず化しつつある。UAVといい衛星といい、こうした姿勢が改善されない限り、兵器の早期ガラクタ化は避けられない。

http://www.sankei.com/west/news/150513/wst1505130006-n1.html
◆韓国の“救いがたき”潜水艦事情…粗製濫造で出撃できず、海軍兵は「狭い艦内は嫌」と任務を敬遠

2015.4.29 産経WEST

  韓国では対北朝鮮をにらみ潜水艦の建造に力を入れているが、実はその「技術」「人員」の両面で“お寒い事情”にあることが韓国メディアの報道で分かってき た。これまで4艦が完成したが、いずれも製造不良などで出撃できないなど問題が発生。しかも政府はそんな状況にあっても新たな大型潜水艦の建造を始めた。 一方、本来ならエリートであるはずの潜水艦乗組員への志願も、劣悪な職場環境を嫌って減っているという。欠陥だらけの上、乗り手もいない潜水艦隊の前途は 多難だ。(岡田敏彦)

潜水できない潜水艦

 韓国の潜水艦 は、ドイツの独HDW社が設計した「214級」(約1800トン)をライセンス生産という形で建造、運用している。18年までに計9隻を建造する計画で、 1番艦の「孫元一」は2006年に進水し、現在4番艦まで完成している。しかし厳密に言えば、一隻も“完成していない”ともいえる状態だ。

 韓国では新型艦の完成や運用開始などことあるごとにその優秀性をアピールし、マスコミと一体となって北朝鮮へのプロパガンダよろしく勇ましい活躍ぶりを宣伝するのが通例だ。しかし1番艦の孫元一は進水後、動静が聞かれなくなり、表舞台から消えてしまった。

 潜水艦といえば「海の忍者」、孫元一も秘密の任務を遂行中-と見る向きもあったが、実はこっそり工場に逆戻りしていた。

  朝鮮日報(電子版)など現地マスコミによると、試験的に運用したところ、スクリュー軸からHDW社の設計値を上回る騒音が発生した。敵艦からすれば、スク リューや動力の音は重要な探知材料となり、潜水艦にとっては致命的。このため推進軸を交換するという大がかりな修理を行った。それでも騒音は収まらず、実 戦運用どころか近海を試験走行するだけだった。

 11年4月、再び修理に入ったものの解決方法が見つからず、結局20カ月以上もの間、工場内で放置されていたことが明らかになった。

 この間、2番艦の「鄭地」が07年6月、3番艦の「安重根」が08年6月に進水。1番艦の問題を解決しないまま量産するという常識外の行為がとられたが、その代償は大きかった。

3隻とも「運行停止」

 10年春ごろ、新鋭潜水艦3隻全てが運行停止になっていたことを朝鮮日報(電子版)など現地マスコミが明らかにした。問題となったのは艦橋と甲板を接続するボルトだ。

  1番艦は、航海中にボルトが緩む事故が06から09年までの間に6回発生。さらにボルトが折れたり緩んだりする事故が2年間に2番艦で6回、3番艦で3回 発生。原因は当初、韓国製のボルトの強度不足とされたが、ボルトを本家ドイツのHDW社の規格に沿う物と交換しても「自然に緩む」という不可解な状況が解 決できなかった。

 結局、韓国の技術者では問題を解決できず、ドイツHDW社の技術者が韓国へ出向いて調査。その結果、欠陥はボルトだけでなく、接続部本体の強度も不足していたことが判明。半年以上かけて金属板で周囲の補強を行い、ようやく解決したという。

 潜水艦の製造には特殊な超高張力鋼板を用いるが、この鋼板は加工が難しく、特に溶接の際に発生する熱の影響や残留応力で生じる問題の解決には綿密なノウハウが必要。設計図があれば作れるといった単純なものではなかったのだ。

 ともあれ、HDW社の出張サービスでなんとか修理を完了した3隻だが、本当のトラブルは深く静かに“潜行”していた。

わずか数日で「窒息」…欠陥はノンストップ

 「孫元一級潜水艦は、浮上することなく数週間の作戦行動が可能」-。海軍のこんな主張が真っ赤な嘘だったことが昨年10月、明らかになった。韓国SBSテレビなどによると、原因は動力を供給する燃料電池の不良にあった。

 潜水艦が最も脆弱(ぜいじゃく)なのは浮上した時。原子力潜水艦は浮上の必要がないが、ディーゼルなど通常動力の潜水艦は酸素を取り込むため、シュノーケル(空気取り入れ筒)を水面上に出せる浅深度まで浮上する必要がある。

 しかし近年は、こうした大気に依存せず、長期の潜行を可能にする非大気依存推進(AIP)という技術が主流だ。中でも燃料電池を用いたAIPは水素と酸素から電気を生み出すもので、民間でもクリーンエネルギーとして注目されている。

 韓国の潜水艦もAIPを採用した。しかし連続潜行期間は、軍が主張する「数週間」をはるかに下回る「数日」だった。燃料電池が欠陥品だったのが原因だ。しかも3隻の燃料電池は軍に納入前から93回も故障し、納入後も102回停止していたことが国政監査で明らかになった。

  これを受け、納入を担当する防衛事業庁は「24時間の試運転を行った上で海軍に納入する」と宣言。昨年11月末、4番艦「金佐鎮」の引き渡し前テストで実 施した。しかし、こうした形式的な対応には批判もあり、韓国のネットユーザーからは「数週間潜れるといいながら、テストがたった24時間とはどういうこと か」との声が上がった。

 ところが政府は、トラブルが続出し解決策が示されず、しかも批判が起きている中で、さらに大型の潜水艦建造計画に着手した。

大型艦建造でトラブルも2倍?

  新型潜水艦は3500トン級で、水中から巡行ミサイルが発射できる仕様。北朝鮮が弾道弾発射可能な新型の潜水艦の配備を始めた-との情報から対抗措置とし たもので、今月に鉄板の切り始めを実施した。しかし1800トン級の孫元一も満足に建艦できないのに、2倍の大きさの艦ではトラブルも2倍になりかねな い。国民からはそんな危惧も出ている。

 一方、海軍は2月1日付で潜水艦司令部を創設することを決定した。ところが潜水艦を巡っては別の問題も存在する。海軍軍人が潜水艦に乗りたがらないのだ。

  冷戦時代、レーダーとミサイルが万能とされたころは、空軍戦力に比べ海軍は軽視された。特に水上艦は「池のアヒル」と揶揄(やゆ)され、イージス艦が登場 するまで水上艦艇は肩身が狭かった。しかし一方で、レーダーで探知されない潜水艦の価値は向上。いまも潜水艦乗りは海軍のエリートなのだが、マイナス面も ある。

トドメは「乗り手いない」

 潜水艦は一般的に艦内が狭く、真水の使用も制限され、水上艦のように風呂があるわけでもない。空気を出せば泡で居所がばれるため、換気も論外。脱臭装置はあるものの、トイレの臭いや生活臭はつきものだ。

 各国海軍軍人は潜水艦の任務の重要性をよく承知し、さらにエリートと認知されているため、潜水艦乗組員への志願も十分あるが、韓国では任務を嫌う軍人が多い。

  韓国の電子メディア「ネイバーニュース」は、海軍の「潜水艦副士官の志願状況」という資料をもとに志願率の低下を解説。副士官の潜水艦勤務志願率は07年 には67%だったが、13年には36・9%という深刻な水準まで落ちたと報じた。しかも現状の勤務者のうち2~3割は劣悪な環境に耐えきれず、転出を希望 しているという。

 現場のベテランになるべき副士官が定着しないのでは、練度の向上は至難の業だ。乗り手がいない上、トラブル満載の潜水艦。韓国の実情は深刻だ。
(1月27日掲載)

http://www.sankei.com/west/news/150429/wst1504290009-n1.html
◆韓国海軍“パクリ製造”の主砲暴発、実戦中に突然停止も…生かされない“人災”セウォル号事故の教訓

2015.3.30 産経WEST

  韓国海軍でまた艦船装備の“パクリ改造”や偽装が明らかになった。多くの中型艦に主砲として積まれている「76ミリ砲」が伊メーカーの製品を“参考”に造 られていたことが判明。メーカーの抗議にも韓国側は正当性を主張したが、改造砲は暴発したり実戦中に停止したりと考えられない事故を起こしている。また以 前、救難艦がソナーの代わりに魚群探知機を搭載していて問題となったが、新たに3隻の掃海艇でも魚群探知機が積まれていたことが判明。人災とされる昨年4 月のセウォル号沈没事故からまもなく1年だが、韓国では惨事の教訓が生かされる気配はない。(岡田敏彦)

“改造砲”暴発の衝撃

  暴発事故は今年1月21日午後6時20分ごろ発生。朝鮮日報(電子版)など現地マスコミによると、黄海に配備されているコムドクスリ級ミサイル高速艇「黄 道顕」の76ミリ砲が誤作動し、砲弾1発が誤って発射された。この事故で付近にいた水兵1人が爆風の影響などで頭部を負傷し重体となった。現地マスコミは 「砲はイタリア製で、韓国企業が性能を改良したもの」としているが、実態は「改良」とはほど遠いといわざるを得ない。

「コピーされた」と伊メーカーが訴訟

  改良されたのは、伊オットー・メララ社の76ミリ速射砲。同社は世界的に有名な艦砲メーカーで、その製品の中でも76ミリ速射砲は西側の“大ベストセ ラー”。生産開始は1969年と古いが、優秀な性能と堅実かつ頑丈な設計で日本やカナダ、米国など多くの国が採用している西側艦艇の「標準艦載砲」だ。

  韓国海軍でもフリゲート艦など中型艦に採用していたが、これを参考にして同国のヒュンダイWIA社が2008年に新型の国産76ミリ砲を開発、海外への売 り込み活動を始めた。これに対しオットー・メララ社は「コピー品だ」として特許侵害と営業損害で同社を訴えた。しかし韓国最高裁は、波よけの防盾の形など に独自性が認められるとして訴えを退け、ヒュンダイWIAは堂々と生産を開始した。

過去にも事故が続発

  オットー・メララ社が「コピー品」と断じた韓国産76ミリ砲の性能は、発射速度が本家の毎分85発を超える同100発で、海軍が新造艦に搭載。さらに、艦 艇に搭載済みの既存のオットー・メララ製76ミリ砲についても、同様の速射能力を持たせる改造を韓国製部品を装着する形で行った。しかし、その結果は惨憺 (さんたん)たる有様だった。

 まず昨年4月にコムドクスリ級高速艇「徐厚源」搭載の76ミリ砲が異常動作を 起こした。10月には同級高速艇「趙天衝」が、北方限界線(NLL)を侵犯した北朝鮮艦艇に警告射撃を実施している最中に76ミリ砲の動作が突然停止。実 戦中に故障するという最悪の事態を引き起こした。先の暴発・重体事故も起こるべくして起こったといえる。

気がつけば偽物

  韓国の一部メディアは、こうした事故を起こしたのは「老朽化で引退する艦から移設したオットー・メララ社製の砲」だと報じているが、同社製の砲を導入して いる他国ではこんな事故は起きていない。そう考えると、改造に使った韓国製部品に原因があった可能性も捨てきれないのだ。

  韓国アジアニュースエージェンシーによると、2010年12月には、オットー・メララ社製の76ミリ砲に偽物部品を装備したとして、韓国・釜山に本社を置 く業者などが検察の家宅捜索を受けている。問題の部品は駐退筒と復座筒という、砲弾発射時の衝撃を吸収する部品。これらは規定でオットー・メララ社製の純 正品を納入しなければならないのに、業者は国内でコピー品を製造。完成した偽物をいったんアメリカに送ってから逆輸入し、輸入証明書を得て軍に納品してい たという。

 かつては大統領官邸を守る対空機関砲さえも同様の手口で劣化コピー品の銃身を付け、破裂事故を起 こし大問題となった。韓国では純正品さえ整備や修理で部品交換するたびに偽造部品を付けられ、ふと気づいた時にはほとんどが偽造部品に替わっていた-とい う可能性さえないとはいえないのだ。

軍艦にまた魚群探知機

 偽造部品や偽物の横行はこれだけではない。海軍救難艦「統営艦」に軍事用ソナーを搭載したとしながら、実際にははるかに安価な漁船用の魚群探知機を搭載し、差額を関係者が横領していた事件は以前紹介したが、3月にはそんな軍艦があと3隻もあったことが明らかになった。

 韓国KBSニュース(電子版)などによると、今年海軍に納入するはずだった掃海艇3隻に、ソナーではなく魚群探知機が装着されていた。曳航(えいこう)式ソナーも軍の要求性能に届かないものだったという。

  昨年8月には、海軍の特殊作戦部隊が使う高速小型ボート13隻が故障続きの上、設計速度の45ノットを出すと艦首が大きく波打つ「ドルフィン現象」が起 き、35ノットの速度制限を設けざるをえないという問題も発生。調査の結果、製造業者が中古のエンジンを新品と偽って組み込むなどしていた不正が明らかに なった。

偽造の代償

 こうした盗作や偽造、不正による安易な「モノ作り」がどんな結果をもたらすのか-。朝鮮日報(電子版)が3月27日に報じたところによると、昨年8月に進水した新型護衛艦「江原」(2300トン)が、設計と異なる状態で作られたとして、防衛事業庁が修正を要求した。

  江原は試験運航中にいかりが落ちてソナーのカバーが破損。設計ではいかりを固定するピンが2本だが、実際には1本しか取り付けられていなかった。また配管 のつなぎ目も設計とは違う工法で作られていた。安易な“工作”が、試験航海でいかりを落とすという前代未聞の恥ずかしい事故につながったのだ。

 韓国内では道路陥没や工事現場の倒壊など信じがたい事故が多発。その多くが手抜き工事が原因とされるが、軍でも同様のことが行われているようだ。昨年4月16日に起きたセウォル号事故からまもなく1年。乗客乗員295人が亡くなった惨事の教訓はどうなったのだろう。

http://www.sankei.com/west/news/150330/wst1503300005-n1.html

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